「田舎は貧しいのだから都会が養うべき」という発想がある。
実際に地方交付税と呼ばれるシステムが存在し、都会の自治体が払うだけ払い、田舎の自治体はそれをアテにしてハコモノ建設などを行っている。簡単に言えば都会人の税金が、田舎の自治体の財源の主要な要素を占めている構図がある。

だが実際には田舎は貧しくない。2021年度の都道府県別「経済的な豊かさ」ランキングで東京は何とワーストの47位。首位は三重県で、以下富山県、山形県、茨城県、福井県と続く。ちなみに支出を抜きに下単純な可処分所得だけの数値を見ても、東京より富山・福井の方が世帯所得は多い。

ちなみに市区町村別の平均年収ランキングを見ても田舎が貧しいとは言えない。日本で一番の東京都港区で平均約1500万。これはまあなんとなく想像がつくだろう。問題はその次で実は2位は山口県の周防大島町で1200万円となる。3位は千代田区、4位、5位が渋谷区・中央区と東京都心4区の中で田舎の自治体が入っている。北海道からは6位に猿払村、12位に安平町が入っているほか、15位の山梨県忍野村は17位の神奈川県鎌倉市よりも高い。田舎の町・村レベルの方が、東京や神奈川の首都圏のセレブ地域よりも平均してはるかに裕福というわけである。

この事実を考慮しても「田舎は貧しいのだから都会が養うべき」といえるだろうか。事実、田舎に行けば人口実態に見合わない立派な新しい公共施設や広すぎる道路があちこちにあり、過密化した都会ほど人が増える前の昭和の時代に建設した狭くて古い施設や道路で不便を強いられている。都会の人が地元に収める税金は、その人が住み働く都会のインフラを拡大更新するために使うことが筋だが、日本ではそうしたことがないがしろにされた結果「地方貴族」が横行しているというのが実態なのだ。

こうした「田舎の誤解」をすべて検証していく。