目的と手段が入れ替わってたって話
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ある定年退職を迎えた男が健康のために毎日歩くことにしたんだそうな。子供も独り立ちしたし、孫もいるし、やり残したことはもうない
後は悠々自適な老後を過ごすつもりだった
しかし、妻は一緒にウォーキングをしてくれそうにないし一人で歩くのも味気無いと思ってた。そんな折、男は日課のウォーキング中に今どき珍しい捨て犬を見つけた
ダンボールに入れられたその子は生後間もないようだった 仕事をしていた頃の彼なら素通りしたかもしれない。そして彼は特にイヌ好きというわけでもない。何か使命感を持って行動するなら、その子犬が野良化して近所に迷惑がかからないように保健所に連れて行ったはず
しかしその時の男はウォーキングのお供が欲しかった
だから男は打算的にその子犬を抱きかかえて家に帰った そして犬の散歩の為に健康でいなきゃってなったのさ
めでたしめたでし 最初の3ヶ月はもちろんその子犬はウォーキングのお供になどならなかった
だから男はじっくりと子犬が大きくなるのを待った。妻は最初は連絡を受けて犬を拾ってきた夫の計画性のなさに呆れていたが、子犬の顔を見た瞬間飼うことにまんざらでもない様子だった
そして子犬はスクスクと育っていく
最初は物珍しさに頻繁に子犬を見に来た孫たちはもう飽きはじめていた
しかし男にとってはこれから
おい、育ててやったんだからしっかり俺のお供するんだぞ。男はその一言とともに、初めての遠出の外出に子犬を連れて行った ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています