中国恒大集団が米連邦破産法15条の適用を申請したことをきっかけに、中国の「不動産バブル崩壊」への懸念が改めて広がっている。特に問題視されるのが不動産開発などに資金を投じてきた地方政府の〝隠れ負債〟だ。負債総額は「約1800兆円」との試算もあり、金融危機に発展するリスクがくすぶっている。

中国の地方政府は独自で債券を発行することを禁じられていたため、傘下の「融資平台(LGFV)」と呼ばれる投資会社を通じて不動産開発や道路、ダムなどのインフラ整備を行ってきた。だが、過剰投資により不動産市況は悪化。地方政府のバランスシート(貸借対照表)上に出てこない債務が膨らんでいると指摘されている。

国際通貨基金(IMF)は、融資平台の負債総額を66兆人民元(約1320兆円)と推計。英紙フィナンシャル・タイムズは米ゴールドマン・サックスの試算として、融資平台を含む地方政府の負債総額が94兆人民元(約1880兆円)と報じた。中国の2022年の国内総生産(GDP)の121兆人民元(約2420兆円)の8割近くに相当する巨額だ。

地方債務の問題は10年以上前から指摘されてきたが、習近平指導部は抜本策を講じてこなかった。ここにきて不動産関連企業や投資会社の経営危機が表面化し、地方政府のデフォルト(債務不履行)が地方銀行などの融資焦げ付きを通じて金融危機に発展するリスクが再燃している。

中国政府は救済策として、地方政府に債券発行を通じて約1兆元(20兆円)を調達することを認めるとブルームバーグなどが報じた。一部の融資平台は7~10%の高金利を支払っており、金利3%程度の債券に借り換えて負担を軽減できるという。ただ、負債総額の規模からみると〝焼け石に水〟との見方もある。

金融危機となれば、日本など世界経済への影響は避けられない。習指導部の手腕が問われる場面だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/65ea90e01cd88821e3703c16c79db76dd85753d2