辺野古問題以来、10年間関係が悪化している日本政府と沖縄県。一時は「沖縄独立論の高まり」も懸念されたが、実はにわかに新しい考えが浮かびつつある。それが再びアメリカ領土に戻るべきだという再統治論だ。

「反基地なのにアメリカ領に戻れというと矛盾しているようですが実は違います。基地をめぐってはもともとアメリカとしてはグアム移転の話でしたし、トランプ政権で「世界の警察」を辞めたように軍縮の流れです。つまり「アメリカではなく日本政府が基地を押し付け固定化しているのではないか」という疑念が日本に向けられ、反基地感情と対米感情を分けて考える発想を持つ人も出てきているのです」(沖縄問題ウォッチャー)

周知のように沖縄は戦後アメリカ領土になり、苛烈な本土復帰運動を経て1970年代に日本に戻った。しかし大元をたどれば琉球王国という独立主権国家であり、江戸時代からの純然な日本ではない。沖縄にとってアメリカ領土時代は外国による支配だったが、われわれ日本国もまた外国なのである。

「今の沖縄の中高年は、車が右ハンドルで、東京の若者よりも先に本場の洋楽を知り、ドル札を握りしめて駄菓子屋に行った幼少期を育った世代です。彼らにとってアメリカ文化は「三丁目の夕日」のような原風景で、米兵が土足で島に上がり込んだ記憶のある戦争体験世代のような反米感情は薄いのです。逆に日本国こそ後からやって来た統治者で、その日本政府が沖縄を冷遇すれば、「対日感情」は悪化して当然です」(民俗学クラスタ)

アメリカも戦後80年を経験し、成熟国家になりつつある。特にオバマやバイデン政権のようなリベラル路線では、民族問題の取り組みも向上している。それに比べると日本国は琉球を未だに先住民族と認めず、民族政策以前のレベルにとどまる。

「例えばハワイは、沖縄のようにもともと独自の王朝だったものを植民地化し、自分たちで大統領も選べない状態が長年続いていました。地域主権の動きが加速し、戦後に全米で最も新しい50番目の州に昇格しています。連邦制の国柄の元、自分たちの州政府があり、地元の民意に基づいた独自の法律を作れ、高度な自治権があるのでハワイ独立論のようなはならなかったのです。アメリカにおけるハワイの立ち位置と比べ、日本国の沖縄の扱いは「支配」のままなので、これならアメリカの州になった方がマシといえます」(アメリカ愛好家)

沖縄がアメリカ領になることには大きなメリットだ。失われた30年で没落する斜陽国日本の末端にとどまることよりく、世界一の先進国・超大国の一部でいた方がよほど豊かで将来性がある。アメリカにとっても、余剰な基地の整理統合を進めつつl、赤化のリスクなしに「中国からの防波堤」を固めることができる。

「日本におけるメリットとして「最も近い本物のアメリカのビーチリゾート」に行けるようになります。日本語が通じ、持ち前の琉球文化はもちろんありつつ、グアムよりもはるかに近くて時差もない海外旅行ができるのです。今以上にスーパーでアメリカの商品を売られたり、ホテルでアメリカのテレビが見られれば大興奮です。日本人の観光需要は沖縄の外貨獲得手段になります」(旅行趣味者)

沖縄がアメリカに戻れば、一部の反米左翼は激しい反発をする一方で、日本にもアメリカにも反基地の沖縄の主流世論にとっても都合がいいのかもしれない。