この夏は、どうだった?日々のニュースは、キツかった?普通だった?何も感じなかった?あなたは何か知っている?それとも、何も知らない?

素敵な恋人ができた?おおいに結構。

葉山でビーチパーティができなくてつまらなかったけど、そこそこ楽しかった?おおいに結構。

新しい感触のかき氷が美味しかった?素晴らしい。結構。

特になんの変哲もなく、やたら暑くて、バテた?おおいに結構。

個人的にトラブルがあって、ちょっとキツかった?結構。

病気をしてしまった?お大事に。でも、それも結構。

ラジオをつけっぱなしにするぐらいしかできないほどの、大変な喪失や事故があって、今、身体を動かすこともできない?真剣にいうけれども、最終的には、それも結構。

特に何もなく、そして物心ついてからずっと、理由もなく苦しい?おおいに結構。

今年も死にたいと毎日願いながら、死なないまま、今日を迎えた?おおいに結構。

どうしても殺したい奴がいるが、殺すことができないでいる?一番結構かもしれない。

なんかなんでもケッコウケッコウって鳥みてえでうそ臭せえなと思った?それも、おおいに結構。

つまり、こういうことだ。

人生が地獄、もしくはそれ以下。あるいは天国、もしくはそれ以上。あるいはごくごく普通、それ以上でもそれ以下でもない、ぬるま湯だとする。

だとして、だ。生きることは、そんなに巷間言われるほど、辛いことなのだろうか?あなたが今抱えている問題は、両手で揺らすことすら難しい、特殊な合金の巨大な塊のようなものなんだろうか。

答えは間違いない。NOだ。

ノスタルジー一辺倒もおおいに結構だが、あれは元々、うつ病の変種だし、冷笑家やニヒリストになってしまう危険と紙一重だ。

常にフレッシュでいること。それが福音の第一番だ。フレッシュでいる限り、人間は自滅しない。

もう一度聞く、あらゆる全ての皆さん、今年の夏は、どうでしたか?なんらかのフレッシュをなんらかのスピーカーから、聴いたかね?

つまり、答えはこうだ。

あなたが、夏に、ああ、懐かしいな、と思ってうっとりしている瞬間、あなたは過去から流れている時間だけを生きているのではない。初めて聴く曲と、何千回も聴いた曲には未来からの同じ時間が流れている。夏、という季節は、神々が我々にそのことを教えるために作った季節なんだ。