有識者でつくる川崎市差別防止対策等審査会(会長・吉戒修一弁護士)は25日、差別のない人権尊重のまちづくり条例に基づき、福田紀彦市長から諮問されたインターネットへの投稿33件について審議した。全ての投稿を外国ルーツの住民に対するヘイトスピーチ(不当な差別的言動)と認定し、拡散防止措置として市からプロバイダーに削除要請するとの答申を委員5人の一致でまとめた。8月中旬に答申書を市長に提出する予定だ。

市担当者や吉戒会長によると、今回の投稿はいずれも在日コリアン住民に関するもので、5月に集中している。その全てが、ヘイトスピーチ解消法が定める地域社会からの排除の扇動にあたる「祖国へ帰れ」といった内容だったという。

 うち1件は、インターネット上の俗語で「死」を意味する「タ」「ヒ」を使用しており、身体への危害を告知する内容も含んでいたという。市によると、この表現でのヘイトスピーチ認定は今回が初めて。

対象33件のうち30件がツイッター、1件がアメーバブログ、2件が電子掲示板「5ちゃんねる」への書き込みだった。これまでに市が削除要請したのは84件あるが、実際に削除されたのは55件だけで、ほかは事実上の放置状態にある。
https://mainichi.jp/articles/20230725/k00/00m/040/305000c