後輩女子「あ、あの、山田リョウ先輩…ですよね、お話があるんですけど」 リョウ「（はあ…またか）」
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校舎裏
リョウ「えっと、話って何かな」
後輩女子「あ、あの実はそのわ、わたし…気になってて」
リョウ「（はあ、やっぱり。わたしって後輩の子にモテるんだよな。
モテる女はつらいなー）」
後輩女子「その、リョウ先輩…」
リョウ「（結構かわいい子だし、ちょっと遊んでもいいけど、まあ
今はバンド忙しいし、断るか）」
後輩女子「…のお友達の、伊地知先輩のことが…」
リョウ「あ、悪いけど今忙しくて…、…え？」 リョウ「…え？なに…、今、伊地知って言った？…虹夏が…、なんだって？」
後輩女子「だ、だからその…伊地知虹夏先輩のことが気になってて…その、いつも明るくて
優しくて…、その、顔も可愛くて…す、好きになったというか」
後輩女子「リョウ先輩は伊地知先輩といつも一緒にいるから、その…、連絡先とか…、
あ、あーあと、できたら、その仲を取り持ってほしいといいますか…」
リョウ「……」
リョウ「へ、へえー…」 リョウ「あ、けど…虹夏は…、あれだしな。彼氏が」
後輩女子「いないんですよね！？わたし、そのあたりのことはすでに調査済ですし分かってます！
時々男子に告られてるみたいですけど、全部断ってるみたいですしっ」
リョウ「え、あ、うん…そう…彼氏は…いない。って、え？男子に時々告られてるって…え？そうなの？
…あ、いや、それはどうでもよくて…」
リョウ「そう…、彼氏は…いない、いないけど…、虹夏はその…、辞めといたほうがいいとおもう」
後輩女子「ええ、な、なんですか！？」 リョウ「…虹夏って実はバンドやってて」
後輩女子「知ってます！結束バンドですよね、ドラム担当ですよね！リョウ先輩も同じバンドなのも知ってますっ！
けど、それがなんの関係がっ！？」
リョウ「え…、あ、いや…関係…、関係は…ない…かな。うん…あ、いや、ある」
リョウ「虹夏って、平日はバンドの練習してたり、ライブハウスでバイトしてたり、家も家事してたりして
忙しい子だから…デートとかも全然」
後輩女子「らしいですねっ！だから私、虹夏先輩と付き合って手伝ってあげたいんですっ、先輩のことっ！
そしたらいつも一緒にいられるしっ、わたしそれで構わないっていうか」
リョウ「え…あ、ああ…そう…うん…まあ…、そういう考えもあるかな…いや…うん、けど」 リョウ「けどあの…、そう、虹夏って前、一緒にみんなで楽器店行った時にさ、
ドラムパートなのに、自分もギターとベース買っちゃおうかとか言ってて」
後輩女子「え…、はあ…、それが何か」
リョウ「うん、つまり…、そのギターとベースもってドラムを叩こうという…そういう
危ない発想の持ち主というか、だから」
後輩女子「え…、そんなわけないですよね？」
リョウ「え…ああ…うん…、そんなわけない…そうなんですけど」
後輩女子「先輩、さっきからどうしたんですか！？わたしの恋、応援してくれないってことですか、
一体なんで…、あ、まさか…」
後輩女子「リョウ先輩…、ひょっとして伊地知先輩のことが…！」
リョウ「えっ…」 後輩女子「や、やっぱりそうなんですねっ、そういえばリョウ先輩と伊地知先輩、いつも一緒にいますし…！」
リョウ「え、い、いや…ち、違うっ…、それは…！
リョウ「そう…いうんじゃあ…ない…はず…」
後輩女子「だ、だったらなんで…、はっ…ま、まさか…」
後輩女子「も、もしかして…逆…？伊地知先輩のほうが…リョウ先輩のことを…？」
リョウ「えっ………、あー…」 リョウ「ああうん…、なんだ気づいちゃったか…実はそうなんだよね。虹夏って、わたしがいないとダメみたいで…
まあ、自分の原因だから、言いにくかったんだけど、そーいうことで諦めたほうが無難かなっておもって…」
後輩女子「そ、そうだったんですねっ…、そ、それ、一体いつから…」
リョウ「さあ…？まあ中学の頃から、なんとなく好意はずっと感じてたっていうか…」
後輩女子「そんな…、伊地知先輩、中学のころから…ずっとリョウ先輩のことが…」
リョウ「うん、まーわたしのほうはさ。『ったく…、おもしれー女…』くらいの感覚だったんだけど…、
けど、前のバンド辞めてから、虹夏のほうから、今のバンドに誘われたとき、はっきり言われたんだよね…」
リョウ「『だってわたし、リョウのこと好きだし…』って…痛ぁっ！？」
虹夏「いや何言ってんのよ、あんたはっ！！」 リョウ「に、虹夏、い、いつの間にっ！？」
虹夏「私がいないと思って何、好き勝手ホラ吹いてるのよっ！？」
リョウ「べ、別に嘘ついてないし、あの時確かにそういったし！」
虹夏「言ってない、あれは『リョウのベースが好き』って言ったの！」
リョウ「同じじゃん、つまり私のことが」
虹夏「全然違うでしょっ！どこをどう解釈したらそうなんのよっ！」
後輩女子「あ、あの…、に、虹夏先輩…、もしかして…今までの話、聞いてて…」
虹夏「え…、あ、ああ…、えっと…その……」
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