いまや一人当たりGDP、大卒初任給で日本を抜いた韓国。
サムソン電子のスマートフォンや韓流ドラマ・K−POPコンテンツで全世界的にヒットを遂げるグローバル強国となったことから「日本はもう韓国に圧倒的に抜かれたオワコン国家」だと考える日本人が1億2000万人近い(推計)という。だが、実際にはそうとも言えない事情がある。

まず韓国が一点集中型国家であるということだ。
「韓国ではソウル市一極集中です。日本も東京一極と言いますが首都圏全体が栄えてますよね。金浦空港から市街に行けばわかりますが、都心にあんなに近いのに空港の周囲は東北地方みたいな広大な田んぼ地帯です。日本じゃ東京から60km離れた平塚までひたすら密集地で栄えてますが、ソウルは市の隣の京畿道(神奈川県の相当)さえ都市の広がりがないのです」(韓国愛好家)
それ以外にも、韓国には有力な都市がない。第二都市の釜山でさえ地下鉄は1985年、通勤電車は2017年に開業と、大阪なら戦前からあるインフラが相当遅れていました。国土全体のリソースがソウル市に注がれている反面、地方には主要都市と呼べるものがない。田舎なんかそれこそ大昔の日本のよう、あるいはアジアの発展途上国同然というのだ。

この傾向は企業にもいえる。家電はサムソン、車はヒョンデ自動車、お菓子はロッテ、検索はネイバーなど、韓国では1業者1企業が独占する傾向がある。
世界自動車ランキングでヒョンデは5位。日本では2位のトヨタ、3位の日産、など上位20位に5社入っているが、韓国企業はヒョンデのみだ。
つまりたまたま得意のスマートフォンなどの電子機器分野でうまく言っていても、実際に最大限利得を獲得するのはサムソンのみである。仮にもしスマートフォンが時代遅れになり、ガラケーのように衰退してしまえば、次の食い扶ちを確保できない限り韓国経済には没落のリスクがある。
「日本は分散型経営が盛んです。同じ産業にも複数の企業があってそれぞれに持ち味があります。アメリカのコダックはカメラ事業が衰退したら没落しましたが、富士フイルムは技術を応用し医療研究で世界的に注目されている。こういう会社が日本の強みで、韓国にはないのです」(経済新聞読者)
それから欠かせないことは日本の中小企業の多さだ。日本では企業のほとんどを中小企業が占めているが、韓国では基本的にサムソン・ヒョンデ・ロッテなどの大財閥のみ。それ以外は露天商やテキ屋のような商売しかないので、数字の面では経済発展をしてもアジアらしい昔ながらの市場がそのまま残っていて、一方で財閥系の全国チェーンや成金趣味の高層ビルばかり増え続ける社会分断があるのだ。
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