基準値180倍のセシウム、福島第1原発の港湾内で捕獲の魚から 原因究明と追加対策を余儀なく
[2023年7月8日22時12分]
https://www.nikkansports.com/m/general/news/202307080001462_m.html

東京電力福島第1原発の港湾内で5月に捕獲した魚(クロソイ)から、食品衛生法が定める基準値(1キロ当たり100ベクレル)の180倍の放射性セシウムが検出された。捕獲したのはセシウムの濃度が高い排水が流れ込む区画で、これまでも基準値超えの魚が見つかっている。原発10キロ圏で漁は行われておらず、東電は魚が出ないよう網を設置しているが、原因究明と追加対策を余儀なくされている。

東電は、夏ごろの海洋放出開始を目指す処理水に含まれるトリチウムは生物に蓄積されず、セシウムを含むほかの放射性物質は放出基準値未満になるまで浄化していると説明している。

今回のクロソイは大きさ約30センチ。1キロ当たり1万8000ベクレルは、海面付近の海水の平均1リットル当たり約5ベクレルから考えても「説明のつかない高濃度」(東電)だった。

原因と考えられるのが、原発構内の雨水などが集まる「K排水路」だ。当初は外洋につながっており、建屋やがれきを伝って汚染された高濃度の雨水が流出するトラブルがたびたび起きた。このため2015年に排出先を港湾内の1~4号機海側の防波堤で囲まれた区画に付け替えた。区画内の海底の土は1キロ当たり10万ベクレルを超えており、海底付近の海水も濃度が高くなっている可能性がある。

今後、海水を詳しく調べるほか、セメントを混ぜた土で海底を覆ったり、区画の出口を囲むように強度の高い網を設置したりする方針。(共同)