相良高校の野球部の生徒、柴田大樹は試合後、仲間たちといつものラーメン屋に立ち寄るのが日課となっていた。店の名前は「世界の味 さつまラーメン」。そこでは野菜ラーメンがメインメニューで、醤油漬けニンニクとすりおろしニンニクをたっぷりとかけるのが定番だった。

ニンニクを山ほどかけると、まだ青臭い若者の自分が、大人になったような、刺激的な味になることもあって、また、とてつもなくパワーが溢れてくる気がして、死ぬほどかけていたが、これが自分の青春の味になるのだ、と、彼自身も分かっていた。

夏の甲子園への切符を手にした、あの試合の後の日。いつものようにさつまラーメンに集合した大樹たちに悲しい知らせが届いた。店主が高齢のため、このラーメン屋を閉めることになったというのだ。

大樹と仲間たちは、まるで自分たちの一部が失われてしまうようなショックを受けたが、店主の決断は揺らがないようで、泣きそうになるのを必死に堪えながら、一杯のラーメンを食べ終えた。

彼らは最後の日に、再びこの場所に集まった。店内には懐かしい匂いが漂い、改めて自分たちの青春の日々はこの店そのものだと、感じていた。

「みんな、最後のさつまラーメンだ。思い出に浸りながら食べよう」と大樹が声をかけると、仲間たちは微笑み合いながら注文をする。もちろん、野菜ラーメンだ。醤油漬けニンニクとすりおろしニンニクをたっぷりとかけ、懐かしい味わいを噛みしめた。

ラーメンを啜りながら、仲間たちは過去の思い出を語り合った。あの時の試合での奮闘、笑い声が響く練習場、そして優しい店主の言葉。それらは大切な宝物として彼らの心に刻まれていた。

店主は微笑みながら大樹に声をかけた。「君たちがここで過ごした時間は、私にとっても尊いものだった。感謝しているよ。これからも夢を追い続け、素晴らしい未来を歩んでくれ」

大樹と仲間たちは涙を拭いながら店主に頭を下げた。「ありがとう、おじさん。これからも、忘れないよ。」彼らの心には深い絆が築かれ、その絆は時を超えて続いていくことを誓った。

大樹たちは店を出る際、立ち止まった。振り返ると、店主が窓越しに微笑んでいた。彼らは力強く店主に向かって言った。「みててください。きっと甲子園で、錦を飾って見せます!このニンニクパワーで頑張ります。」

店主は優しい笑顔で応えた。「待っているよ。君たちの未来を信じているから」

大樹たちは仲間たちと共に店を後にし、新たな未来への一歩を踏み出した。大樹たちは互いの絆を胸に刻み、困難に立ち向かっていく覚悟を持っていた。

彼らは立ち上がり、前へ進む。そしていつの日か、再び「世界の味 さつまラーメン」で出会い、共に笑い合う日が訪れることを信じて……。

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