僕も騙されててるみクラブのツアーで旅行に出てしまったのだ('ω'`)
ケニアでホテル取れないし空港までの道のりも分からなくて途方にくれた('ω'`)
周りの猿みたいなクロンボ達は英語もまともに話せなくて困ってたのだ('ω'`)
僕はもう豚小屋でみんなと楽しくお喋り出来ないのかなって、らん豚に酷いこと言って仲直りしてなかったのを後悔してしまったのだ('ω'`)
そんな、自分の境遇の不幸さを呪うように膝から崩れ落ちなんとか道の端に座っていた('ω'`)
そこで、彼と出会ったのだ('ω'`)
僕が道の端で俯きながら座っているとドウシタノデスカ?と片言ながらもしっかりと伝わる日本語で話しかけてきた
僕はこの異国の地で母国の言葉が聞けるとは思いもしてなかったから最初は幻聴だと思ってしまった
だが、違った。僕が恐る恐る顔を上げるとそこにはなんとも儚げな青年がたっていた。
彼は僕が気付いたのをまるで初めて子供に出会った父親のように双眸を綻ばせていた。

彼の親は事業に成功したお陰で裕福な家庭を持ち、そこに生まれた彼は真っ当な教育を受けることが出来た数少ないケニア人だった。
大学はイギリスのオックスフォードに留学しアジア文化について学んだみたいで一目見て僕がアジア人で困っていると思い声をかけてくれたようだ。
彼はその優しげな風貌に違わず困っている人を助けなくてはいられない気質のようだ。
彼の助けもあって無事に日本の大使館まで到着することが出来たが道中の会話が弾んだだけに彼との別れが惜しくなってしまっていた。
笑える話だ、ほんの数時間前まではケニアがまるで悪魔の土地であるように感じていたのに今では第二の故郷のようにすら感じられる。
そんな土地にまだ居たいと思わせるほど彼は本当に魅力的な男性であった。
大使館のチェックも済んだようで遂に彼との惜別の時が来た。
そういえば、と思いだし彼を引き留めると砂にまみれ擦りきれたリュックから一冊のパンフレットを引っ張りだし一つの例文を読み上げた。
「あなたの名前はなんですか?」
なんとも珍妙な発音であったのだろう周囲にいた何人かのクロンボから笑い声が聞こえた。
彼もまた笑みを浮かべていた。だがそれは、僕の拙さに対するものでなく旧知の友人に異国の地で出会えたかのような不思議な笑みであった。
そして、彼も負けじと拙い日本語で…いやきっと流暢な日本語だったかもしれないがこう答えた。
「俺ケニア人のパウロ」と。