隣の柿はよく客食う柿だ
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二本の柿の木は 隣の家との 塀の こちら側と向こう側に立っていた まるで昔からあったその柿の木は 人間のエゴにより隔てられてるような感じであった 秋になり それぞれの柿の木は 大きな実をつけるようになった 1つもぎって食べると それはとても甘くて美味しい柿だった そんな折 隣の 家に しばしば 客人が訪れていることに気がついた 色々な客人が訪れてくるようではあったが 帰る客人は一度も見かけなかった 僕は少し変に思い 隣の家を よく観察するようになった その日 客人は 昼頃 訪れ そのまま 隣の家に 泊まることになったようだ 僕は自分のことも そっちのけに隣の家のことばかり見ていた 隣の家から客人と その家の主人が こちらに向かって歩いてくるではないか どうやら お目当ては隣の家の庭に立っている 柿の 実のようだった 2人は 柿の木に 近づき 主人は 身をもぎって その客人に渡していた 客人は虚ろな目になり その柿を 一気に食べ尽くした 客人は恍惚の笑みを浮かべ その場に立ち尽くしていた その枝はまるで 客人を 抱き寄せるかのように その客人にまとわりついた 次の瞬間 柿は縦に大きな口を開け その客人をパクリと飲み込んだ 僕は今見た 非現実的な 光景に 驚き 逃げるように 自分の家に戻った それからも その光景を何だか目撃し しばしば 訪れる客人は みな 柿の養分になっている ということがわかった もし 話したとしても頭がおかしくなったと思われることだろう この言葉の本当の意味を知ってしまったのかもしれない 一軒家だと町内会や自治会や子供会や消防団に加盟して業務負担しないと村八分にされるよ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています