押すと10億円貰えるけど獣人になってしまうボタン
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午後、バイトが終わってアパートに帰宅した俺は、玄関の前に小包が置かれているのを見つけた。
差出人は不明で住所も書いていない。
なんの荷物だろうか?
首を傾げながら部屋に入り、包みを開けてみると中には妙な押しボタンが入っていた。
《押すと10億円貰えるけど獣人になってしまうボタン》
そのボタンにはこう書かれていた。
何じゃこりゃ??
思わず首を傾げた。
疑問に思いつつも何気なくそのボタンを押してみた。
ポチッ……何も起こらない。
なんだこれ。
電池か何か入れないと動かないのかな。
そう思って、ボタンの底面や側面を見てみるが電池が入りそうなところはなかった。
ただのジョークグッズか?
きっと配達業者が住所を間違えて届けて
しまったのだろう。
そう思った俺はボタンを箱に戻した。
バイト帰りで疲れていた俺は、ベッドに入ってすぐに眠った。 数時間後、暑くて目が覚めた。
すっかり陽が落ち、部屋は真っ暗になっていた。
ベッドから降り、立ち上がると身体中に違和感を感じる。
部屋の明かりを点けると、自分の腕が毛むくじゃらになっている事に気づいた。
慌てて姿見鏡を見るとそこには全身を毛皮で覆った獣人の姿があった。
驚いて自分の顔に触れると、それが自分だとわかる。
なんと俺は獣人になってしまっいたのだ。
どうして?!
さっき押したボタンが原因なのか?
しかしあれはジョークグッズではなかったのか?まさか本物だったとか?
そんなバカな…… 一度深呼吸をして気持ちを落ち着けた。
とりあえず鏡に映る自分の姿を観察してみる。
赤い髪の頭から三角の大きな耳が生え、ピコピコ動いてる。
目は金色に輝き、ポカンと開いた口元からは牙のような歯が見え隠れし、鼻先は黒く、少し尖っているようだ。
顔は橙色の柔らかい毛に覆われていて、頬には茶色い虎柄模様が入っている。
Tシャツとハーパンから伸びた手足も同じように虎柄模様の入った毛で覆われている。
手足には肉球があって、指先には鋭い爪が生えていた。手足の形は人間のままだ。
ハーパンの裾から伸びた長い尻尾はゆらゆらと揺れていた。
それだけではない。
身長がかなり縮んでいた。
目線の高さは元より30cmほど低くなっていたし、着ていた服はダボダボになっていた。
「マジか……」
呆然と呟いた声さえも変わっており、まるで子供のような甲高い声だった。 しばらく呆然としていたが、やがて冷静さを取り戻した。
うん、これは夢だな。
よし、もう一度寝よう。
そう思って寝ることにした。
だがしかし、いくら待っても一向に眠れなかった。
そこに、スマホが通知音を鳴らした。
画面を見ると《○○銀行 振込入金のお知らせ》の文字が表示されており、通知を開くとそこには信じられない金額が記載されていた。
以下の振込入金がございましたのでお知らせいたします。
口座番号: 123-45679
金額: 1,000,000,000円 >>7
押した直後に尻尾生えてきて慌ててほしかった 振り込んだ人物の名前は書かれていなかった。
俺は恐ろしくなって震え上がった。
このお金は一体どこから来たものなんだ?
そもそも誰が送ってきたものだ?
それにあのボタンは何だったんだろうか?
考えれば考えるほど怖くなり、居ても立っても居られなくなった。
すぐにでも警察に通報すべきだと思った。
だが、このままの姿ではまずいと直感的に感じて、警察を呼ぶことはできなかった。
もしも今の自分が姿を見られたらどうなるのだろう?
誰かに助けを求めたいが、今の姿を見た人がどういう反応をするのかと考えると躊躇してしまう。
この状況に不安と恐怖がこみ上げてくる。 そして悩んだ末、友達に助けを求めることにした。
メッセージアプリで連絡を取った。
正直なことを言っても信じてもらえるかどうかわからない。
だから《大変な事になってるから今すぐ来てくれ》《何を見ても驚かないでくれ》とだけ書いたメッセージを送信した。
《何があった?急いで行く!》とすぐに返事が来た。
友達が来てくれることになって不安が少し和らいだ気がした。
しかし、今の姿をいきなり見せたらドン引きされるかもしれない。
俺はクローゼットの中からパーカーを取り出し、それを着て顔が見えないようにフードを深く被った。 十数分後、チャイムが鳴る音がした。
玄関に向かいドアを少し開けると、そこには友人がいた。
「あれ?君誰?俺、湊の友達なんだけど湊いる?」
「奥の部屋にいます……あがってください…」
「あ…そう、じゃあお邪魔します」
「どうぞ…」
そういうと、友達は部屋に入っていった。
「あれ?湊いないなぁ?どこ行ったの?」
「俺だよ…」
「えっ?何??」
「俺だってば!!」
そう言いながら、俺はフードを脱いで顔を見せた。
すると、目の前の友人は一瞬驚いた表情を浮かべたのだが…。 >>12
燃やせ燃やせ怒りを燃やせ
走れ走れ明日へ走れ 「はっはっは!オレをからかっているのか?妙なコスプレまでしちゃってさ!」
と言って笑った。
やっぱり俺だとわかってくれないか……。
本物の毛皮だとわからせるために友達の手を掴んで俺の頬に触れさせた。
その瞬間、友達の表情が凍りついた。
そして、友達は俺の顔をまじまじと見つめる。
その後、ようやく言葉を発した。
「湊……なのか?お前……その姿は……」
どうやらやっと気づいてくれたようだ。
ほっとした。
これで何とかなりそうだ。
それから俺はこれまでの経緯を説明した。
妙なボタンを押したら獣人になってしまったこと。
10億もの大金が振り込まれたこと。
最初は半信半疑だった友達だったが、実際に銀行の入金履歴を見せられるとさすがに信じるしかなかったようだ。
「その妙なボタンってどこにあるんだよ?」
「テーブルの上の箱の中」
「ちょっと見せてみろよ!何かわかるかもしれないぜ!」
そう言われ、例の箱を開けてみたが、なんとボタンは無くなっていた。
部屋中を探してみてもどこにもない。
「誰か持ってったんじゃないのか?」
いや、そんなはずはない。
今日俺の部屋には誰も来ていないはずだ。
俺はずっと部屋にいたし、誰かが持って行っただなんてありえない。
いったいボタンは何処へ消えてしまたんだろう?
「探しても見つからないんじゃ仕方がないな…」
「あ、あぁ……」 「それより、お前の体どうなんだ?」
「どう…って?」
「その体になった感想とか聞いてみたいじゃん?」
湊は自分の体を改めて確認した。
「うーん……」
「ちょっと見せてみ」
「えっ……ちょっ」
湊の頭を両手で引き寄せて、お互いの鼻が触れ合うくらいの距離まで近づけてじっくり観察した。
やはり湊は本当に獣人化してしまったようだった。
触った感じも動物の毛皮と同じ感触だし、それに耳や目もネコ科の動物そっくりだ。
「あんまり触んなよ……」
湊は恥ずかしそうにしている。
瞳孔は縦長になり、口元が前へと突き出していてまるでネコ科の動物ような顔つきだ。
髪の毛だけは人間の時のままだったが、赤色に変色している。
腕も脚も柔らかい毛で覆われ、さらに尻尾まで生えている。
手を広げさせると、掌と指先にプニプニとした肉球がついていた。
そして身長が縮んでいる。
立って向かい合っても、俺の胸までしか届かない。
この現実のものとは思えない出来事を目の前にして、俺の好奇心はどんどん膨らんでいく。
服に隠れた部分を見てみたい。
そんな衝動に駆られてしまった。
「ちょっと服脱いでみてくれないか?」
思わず口に出してしまっていた。
「えっ、何言ってんだよ!」
湊は明らかに動揺していた。 「ほ、ほら、ちゃんとお前の体がどうなってるか見ておきたいしさ」
俺は慌てて取り繕った。
「わ、わかったよ……」
そういうと、湊は上着を少し捲り上げた。
「変な気起こすなよ……」
湊は不安そうな顔をしながら上着を脱いだ。
露わになった肌は綺麗な毛並みに覆われている。
橙色の毛並みに白いお腹、胸元にはもふもふの毛が生えていて、背中には茶色の虎柄模様がある。
俺の好奇心は更にエスカレートしていった。
下の方も見てみたい……。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています