夏祭りに消えた懐中電灯
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中学時代の実体験の怖いというか不思議な話です
よければ聞いてくださいませんか 話します。
私の故郷は山と川しかない超がつくほどの田舎でしたので、子供の数は少なく(1クラス5人くらいだった)遊ぶ時は小学生、中学生関係なく混ざって遊ぶことが多かったです。 そんな小さな村でしたから夏祭りの規模も小さく、屋台は三つほどしか出ず当時の子供たちはすぐに飽きて退屈してしまっていました。
今思えば都会の賑やかなお祭りとは違い、大人たちがお酒を飲みながら騒ぐだけだったような気もします。 その年の夏も私たち子供グループは夜の8時ごろには屋台にも飽きてしまい、祭り会場の神社の駐車場でDSなどで遊んでいました。
しかしそれにも飽きてしまったあたりで、グループのリーダー的存在だった中3の先輩が「肝試しに行こう」的な事を言いました。
私たちの間では、夏祭りの日には大人たちに黙って肝試しに行くのがお約束になっていたので私含め、みんなのテンションが一気に上がったのを今でも覚えています。 早速どこに行こうかという話になりました。
とはいえやはり田舎なので、有名な心霊スポットなどがあるわけでもなく、ただ近所の墓地に行ってみたり夜の学校を外から眺めて「あ!廊下になにかいる!」などと言ってみんなではしゃぐのが毎年のことでした。
その年も同じように、まずは夜の学校に向かいました。
中には入れないので学校の周りをゆっくり歩きながら廊下や教室の窓を懐中電灯で照らしてみんなケラケラ笑っていました。
特に私は、かなり大きな懐中電灯を持っていたので、 自分の顔を下から照らすやつをやってみたりもしてすごく楽しかった記憶があります。 しかし、学校は何度も行っていたため、これまたみんなすぐに飽きてしまいます。
神社の方からは、まだ太鼓の音が聞こえてきます。まだまだ祭りは終わらないのです。
みんな退屈しながらゆっくり神社に戻ろうとした時でした、先輩が言いました
「忠魂碑に行こう!」 それを聞いた瞬間、一瞬みんなの空気が変わったのを感じました。
今思えば、あれは忠魂碑と言うものなのかは分かりませんが、それは地元の山奥にある大きなお墓で、そこには戦死した人たちが沢山入っているというのを私たちは学校や親から聞かされていたのです。
これは今回の話とは関係ないかもしれませんが、私の友達が行方不明になりその後、そのお墓の近くで気絶しているのを発見された事もありました
本人は何も覚えていないと言っていました。 そんな事もあったので私たち、地元の子供からすればその場所は近寄っては行けない場所、というよりかは近寄りたくない場所だったのです。
グループ内の小学生なんかはもうガクブルで泣きそうな子もいました。
しかし先輩はノリノリで、それに釣られる感じでまずは中学生メンバーが賛成派になりました。
私もその1人です。
正直怖かったですが、みんながいるので怖さが和らいでいたんでしょうね 中学メンバーが行く気満々だったので、怖がっていた小学生たちも最終的には行く気になり、私たちはその禁足地に向かう事になりました。
夜の山はかなり不気味で、音は虫の声と遠くから聞こえる太鼓の音、それからみんなの足音のみ。
足元が真っ暗なので懐中電灯を持っていた子たちで足元を照らし、小学生たちに気も使いながらゆっくり山の奥へ進みました。
そのうち、ボロボロの石階段が見えてきました。
みんなの足が一瞬止まります。
それこそが、禁足地への階段だったからです。 帰りたい
正直そう思っていました。
しかし先輩は相変わらずで一番乗りに階段に足を乗せました。
そのまま先輩がぐんぐん登っていくので私たちも後に続きました。
階段は幅がバラバラで歩き難く、何度か転びそうにもなったし、あとすごく長かった。
だから疲れました。 そんな事などお構いなしに進む先輩。
やがて先輩の背中も見えなくなり、不安になりながらも私たちは登った。
やがて登りきりました。
先輩は私たちに背中を向けたまま、じっとたって見上げていました。
巨大なお墓を。
私たちも見上げました。
初めてみるそれは本当に大きく、凄まじい存在感を放っていました。
「おいこれなんだよ」
先輩が指差したのは、それをぐるっと囲むように設置された鎖のようなもの
それはまるで何かを封じ込めるかのようでした。
少しして、みんな思い思いに周りを散策し始めました。
「これトイレじゃね?うわ!虫がいっぱい死んでる!気持ち悪りぃ!」
小学生たちは墓の近くにあったトイレに大興奮な様子でした。
そのトイレもかなり古いものなようで、いわゆる「ぼっとんトイレ」というやつ
見に行ってみると確かに虫の死骸が大量にあり、とても使えるような状態ではなかった。 しばらくの散策の後、最後にお墓の写真を撮ろうという事になりました。
みんなカメラで何度もシャッターを切って写真を撮り始めます。
私も撮ろうと思ったのですが懐中電灯が大きく、邪魔でした。
「ちょっと持ってて」
私は隣にいた子に懐中電灯を渡し、カメラで何枚か写真を撮りました。
その時でした、先輩が突然叫び始めました
「うわぁ!これヤバいって!マジで洒落にならん!!」
そんな感じで叫びながら、ものすごい速さで走って階段を降りていきました。
私たちもパニックになり、みんな叫びながら走り出します。
階段を三段飛ばしくらいで降りたので何人か怪我をしたりもしました(擦りむく程度でしたが)
みんなそのまま神社の近くまで戻りました。
息を切らしながら先輩の方を見ると先輩はニカっと笑い
「引っかかってやんのw」
素直に殺意が湧きました。 「なんだよもー!まじありえん!」
先輩に対するブーイングが止まらない。
しかし次第にみんな笑い出し、「いやけどほんとビビったわw」などと言い出しました。
祭りはもう終わりに近づいていました。
屋台が閉まり始めており、人の数もかなり減っていました。
どうやら時間潰しには成功していたようです。
私は家が少し遠かったのでみんなより先に帰る事にしました。みんなはまだ少し、神社で話しているみたいでした。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています