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(’-’*川アカオニアオオニノオハナシカラデキタオハナシダトシタラ👹モウテンサイトイウヨリハ…🌋ショウセツカイテミタオ🐰マタ🍹♪
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0001jc!ダオ
垢版 |
2022/05/10(火) 21:22:26.990ID:9bAEz0wO0
「シャア大佐は、モビルスーツデッキでモビルスーツを?」
「はッ、サザビーです」
その士官らしき女が艦橋の最上席で隣の男に質します。色彩を非常に抑えた深紅の紅が、まとめ上げられたその長い金髪の深い輝きにどこかよく映えました。視界には向かい合って戦場の全ての動きが苦心もなく、薄暗い地図上の極めて単調ないくつかの光として半透明状の巨大なモニターにただ訳もなく今明滅を繰り返しています。
「大佐、ギュネイ・ガスの空域が膠着状態です。援護の必要を認めますが…」
女があらかじめコンソールを叩くと、手元の小さなモニターが明るく灯り改めて一人の男が今まさに座席に乗り込むのが映し出されました。その時女の声には並々ならない、ただ二人のその濃い感情的な関係が少しだけなぜか何気なくよく分かるようなつかの間の吐息がどうしてもどこか静かに澄ましてもわずかに籠るのでした。
「フィフス・ルナの投入は終わったのだな。総員、引き上げのサインを出せ!」
男はなんとはなく慌ただし気に、足元の暗がりに青い目を険しくしながら誰をも逃さず捕らえるこの荒々しい全身に鋭い重力の轟音の事態に改めてそれを見極めるように、あるいは皮肉にそれをとぼけて見せるかのようでした。女は応えます。
「出しましたが、モビルスーツの後退のためにミノフスキー粒子を散布して電波攪乱をすることができません…」
女の言葉にはなにを今更、というような別の言葉が非常に小さく含まれて思われました。
「その分、ギュネイが危険か…、ようしッ!」
男はその若者の危機は果たして自分に値する事態なのか、というような瞬時免れないある種の自己嫌悪、あるいは自嘲というべきものにすら何食わぬ顔をして冷たく、こともなげに遊びながらその命を瞬く間に平気で投げ出してしまうようないかにも男らしい自信に満ちた素振りでした。
男はそこで乗り込んだ巨大な兵器に命をおもむろに吹き込むと、ぽっかり球体形のその乗り込み口内部は直ちに物々しく全面鮮やかな視界を能弁に語り始めました。その足元には固唾を飲み込み興奮しながら動向を見守るいかにも忠実そうな幾人かの整備兵であって、そのもてあましがちなややぼんやりした表情すらはっきりそこには映し出されているのです。出入口付近のしたがって真っ赤に輝くこの傷一つないような流体的造形の美しくも野心的な、邪悪な不気味さをひと際放つなにか見た目にも非常に重装甲な深紅の人型兵器は、どうやら隊長機らしいその大きな角を備えた顔面に別段の必要もないただなんとなくという漂うような男のおざなりな習慣らしいしばらくの軽い目視の後に、素早くそのハッチを精密に閉じて男をひとり飲込むとどうしたわけか素晴らしいその機動力を低く唸らせ、同時に力強い一眼の鋭い緑光をその顔面中央にゆっくりと灯すのでした。
「ギュネイのヤクト・ドーガを援護、回収する!」
サザビーと呼ばれる人型兵器、即ちモビルスーツというべきは今左腕に巨大で物々しくも鋭い角を意匠された、甚だ狂ったように変則的な逆三角形のひとつの真っ黒なシールド、その中央に鷹の舞い上がる金柄のジオン章を美しく輝かせていました。闇の中、死に物狂いで身悶えする切羽詰まったような狂った飛翔。そして右腕が掴むのはいうまでもなく巨大な火器らしき鉄塊。
「サザビー出ます! サザビー発進!」
格納庫であるそのモビルスーツデッキに響く大きな緊急警報はでもあっさり巨大な背中に振り払われて、深紅のモビルスーツは一機その全身に際立つ機動ユニットをそれぞれ荒々しく興奮させ慌ただしく吹かせながら、やにわに立ち籠るそのただならぬ狂った蜃気楼のような呪いの揺らぎの中に大きくゆっくり歩行前進を開始しました。成程、やがてその前方の隔壁が静かに開け放たれると、いかにもその重力の呪いというべき嵐の中に妙に光を乱反射させる同じ深紅の美しい母艦のその中央甲板におざなりのようにそのまま躍り出るのです。そこで瞬く間の煮え切らない少しの祈りの隙間すらないままに、妖怪じみた最大出力で全ジェットを噴射をさす闇夜に君臨する鬼、サザビー。従ってケーブルジャッキが乱重力の中にあらましカタパルトの役を悶え苦しみながら一応に果たすと、それはあまりに鋭い恐るべきジェット推進のその真昼のような光の後塵のうちに今呆気なく正気を失ったように切り放たれるのでした。

おわり
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