神戸市に住む30代の男性は、北海道旅行中だった両親と弟が観光船に乗っていたという。

>>この旅行は感謝の気持ちを込めて3人にプレゼントしたものだった。

男性は24日、毎日新聞の取材に対し「まだ冷たい海にいるかもしれないが、無事を祈っている」と語った。

 24日午前1時ごろ、突然、北海道警から電話が入った。「3人が交通事故にでも遭ったのか」と思ったが、知床半島で浸水した観光船の乗船名簿に3人の名前があり、緊急連絡先として自分の電話番号が記されていたと告げられた。

 「今までちゃんとした親孝行をしたことがなかったので」。就職して子どもが生まれ、両親は初孫を喜んでくれた。弟も子どもに「会いたい」と言ってくれていた。感謝の気持ちを込めて飛行機のチケット代を男性が負担し、北海道旅行を楽しんでもらうことにした。

 浸水事故の前には、両親から無料通信アプリ「LINE」で、お土産に何が欲しいかと尋ねるメッセージが来た。さっそく北海道名産のカニなどが自宅に届いた。感謝のメッセージを送ったが、返事はなかった。両親と弟が捜索で発見されているかどうかすら今は分からない。男性は「早く確認したいけれど、どうしたらいいのか」と言葉少なに語った