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(’-’*川カギハサシテ🌋マワシテ🌋モドス🗝✨ショウセツカイテナオシテミタオ🐰マタ🍹♪
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0001jc!ダオ
垢版 |
2022/03/30(水) 21:30:10.012ID:oSdDTJFp0
一見雪山の景色。ほのかに草花が色めいてよろめきながらも荒々しくその刺すように冷たい冬の覆いを力強い生命力であらためて出発点にして突き破り、なんとか寒い陽の光にすきを見て顔を出して喜んでいるかのようなそんな景色。それらはですがあくまでどこまでも腐海の景色。よく見ればたちまちに所々おどろおどろしく、地形すら溶かして腐るその白く輝く雪のような雲は新たな森の萌し、毒の瘴気の広がりでした。誰に想像できる光景でしょう。山はつくねんとして一種異様な静けさで煮え切らないようなその同じ小高さで律儀に規律正しく並んで立っています。もはや美しさというより不気味に漂う得体の知れない恐怖の瘴気の白雲になぜか、ぽっかりと絶えず浮かんでまるで彷徨うよう。
白いメーヴェの乗せる二人。空はにごりなく静かに晴れてすがすがしく、山の麓をおびやかす瘴気の渦のはるか上空に本物の白い雲を優雅に泳がすのでした。
「そうかな? ボクにはいつもとおんなじにしか見えないが…」
二人が乗るメーヴェの影がどこまでも静かに、悪鬼の呪いの麻袋のような狂ったキチガイの祭りの後の興奮の砂浜のような、腐海の瘴気のそのめちゃくちゃな落ち着かない病んでしまって乱れた平原にそのまま真っすぐにただ飛行雲だけ孤独に連れて、涙の垂れるようにひたすら一筋、音もなくただ揺らぎ続けました。
「蟲たちがいない…」
ナウシ●の眉の根は険しく、この異様なちょこんと天空の島のような山々の麓をただただ睨んでいぶかしげでした。
「なぜかしら…?! こんなに胸がドキドキする…」
雲があまりにのんびりとして、地上はさびしく放任されてそのまま冷たく見放されているよう。
「もうすぐだ! あの山を越えればボクの仲間たちがいる!」
アスベルはやや興奮した声を上げました。どこからか見ればひどくめくれ上がった巨大な地殻がその育むべきすべての生命をいつの間にか誰かに取り上げられたようにしてその岩肌をむき出しに、並べられたその痛々しい罰せられたような禿げた稜線をどこまでもどこまでもその地平線上にさみしく陣取らせていました。それは少し幻想的で美しいまでの気の毒な自然の壁。そして視界に投げかけるその憔悴しきった悪夢ような姿は、なぜか息がつまるようでたまらなく冷たく強迫的でした。その麓にはどうすることもできない瘴気の濃い白い渦。
0002jc!ダオ
垢版 |
2022/03/30(水) 21:31:05.437ID:oSdDTJFp0
メーヴェはその地獄的な光景の上を静かになだめて二人をきちんと乗せ風をなめらかに良くすべりました。山々はゆっくりとその翼を過ぎる時、心もちか悪戯に風の中にまた邪気を込めるようでした。静まり返ったその物狂おしい、動くものとてなにもない地獄の底の巨大な口の中に横たわる人の霊魂を味わいつくす舌のような、その無限のような恐ろしい凹凸はさながら狂ったように丸く輝く太陽さえガラス玉のような用心深い巨大な鬼の目に感じさせるのでした。
その風の見えざる悪戯な宴、それが過ぎると次には再びなにごともなかったかのように砂漠のような一面の砂。それが果てしもなく不気味に広がると痺れたようにところどころ巨大なクラゲのような、お椀を伏せてミミズでもつめこんだような、それが乾いた風のなかで固まりなにか得体のしれない大きなひとつの亡霊になったかのような、その妙に小高い歪で大きな突起物が不規則にそこかしこに建ち予期せずその目に飛び込んで来るのです。それは聞いた話では遥か以前、人が生み出した新しい恐怖の太陽が溶かして滅んだかつての大都市の痕跡だという。死の恐怖を免れぬようにそれは確かに僅かな間にもあっちこっちに散らばり、ある時は足元にある時は這いつくばるようにしていつの間にか目にするような今はどこにもあるありふれた醜い光景でした。少女は心得ながらもなんとなく、なぜかその時それらの中に必然眠るだろう人々の魂をフと不思議に思いました。それから、二人の目には再び無限のような真っ平な砂漠がすべてを洗い流すように横たわるのでした。

果てない砂漠は実にそれ自身が恐ろしい常に人の命を静かにさらおうとする不気味で真面目な死神です。ゾッとする白目で時にひそかに青ざめた顔の横から睨むように人の心を覗くような。ですがその日は不思議とまたあわただしく、見るとなにごとかなぜか再びの邪悪な風の舞い狂う宴のような砂嵐がまるで壁のようになって騒がしくメーヴェの行き先に立ちふさがるのです。アスベルがその時、いやに不審げな声を上げるのでした。
「ペジテのほうがおかしい、何だろうあの靄は…?! 」
と言って、興奮したアスベルはなぜか瘴気マスクを外して動揺を隠せぬように大きな息を繰り返しました。
砂漠の波頭の上を素早く滑るメーヴェ。そしてその翼の下に、途轍もないその黄金の嵐の波乱に紛れて踊る恐ろしい破滅と死の兆候、その一端がさっそく触れ始めるのでした。
「ああっ! アスベル、マスクをつけて…!」

残念ながら今日はここまでです。
何らかんらで谷はそのあと何らかんら救われます。予言者のおばあさんもいます。脇を固める子供もいます。
「姫様、青い異国の服を着ているの」
「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし。おお、古き言い伝えはまことであった…!」
青い服の少女は微笑みながらなおも金の光の上を歩きます。生まれたばかりの天使のように。

おわり
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