よせ。やめろ中川。
そこから先は言うんじゃない。

「──好きだったんです」

中川の気持ちにはずっと以前から気付いていた。
わしも中川のことは好きだ。しかし……。
……わしは……わしは、部長の女なんだぞ……。

「先輩……」

ゆっくりと、しかし着実に唇が近づいてくる。
受け入れてはだめだ。拒絶しなければ。

──なのに、なぜわしは受け入れてしまったのだろう。
わしは目を瞑ってしまったのだ。まるで現実から目を背けるかのように……。