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(’-’*川ミラレテイルヨウナキモチッテイツマデモキモチイシタスカッチャウ🐰✨ショウセツカイテミタオ🍹マタ♪
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0001jc!ダオ
垢版 |
2022/03/03(木) 21:23:59.336ID:/pEQc9Fa00303
少し白々しく恐ろしい、真新しいように感じるほかならないいつもの自分のいつもの部屋のいつもの扉。それとなく小さく呼吸を整える少女。わずかに震える指。これは果たしてどうしたことでしょう。少女は最近とみにやわらかな自分の胸元に恐る恐る少し手をかざして、寝間着のほつれを確かめてからまた恐る恐るその扉を開きます。
「もうすぐ夜明けね、すぐいくわ」
扉を開けてしまってからすました表情でいつもの通り、いつもの業務のような言葉を交わしてしまってしずかにその扉を閉めると、フッとまたひと息ついてその場にたたずむわずかの間。たちまちに誘惑を感じてしまうあのなめらかでやわらかい温かな感触、そしてその時浮かび上がるざくろのような果実の中に煽り立てられるように研ぎ澄まされる感覚。なにか、もやもやしてそびえたつなにも知ることのできない高い壁の存在が不思議に冷たく感じられてぽうっとよぎる現実の孤独、ずっとずっと子供時代となにひとつかわらないちっぽけなつまらない環境に自分だけ閉じ込められているような不安、恐ろしさ、悲しさ。
やっとしてふたたび温かいその肌着を名残惜しげもなく素早くはだけて急いで着かえに戻るのでした。どうしたって例え夜の闇にもその目に映る、動揺をさそう呪いの石膏のような、恐ろしい夢のようなその自分自身のみずみずしい白肌に喉元をおしつぶされながらひとり、静かに心を鎮めつつ。
お城の広間に通じる入口は当然のように人通りはなく、時折風で大きく苦しむような底知れないなにか人の死を連想させる恐ろしい不思議なうなり声を上げましたが慣れたもので二人はそれに見向きもせず、見張り台までの長いらせん階段まですこし急いで真っすぐ駆けました。なぜか風はわずかにすこしめずらしく冷たく、断末魔を上げながらまばらに散らされる元気なまだ子供のような多くの小さな木の葉をむりやりひきはがしてその舞いに巻き込むようで、するとそれがまた時折夢中な少女の赤らんでやわらかなその美しい頬をかすめました。
らせん階段は慣れた体にもかろうじてたどれるほど先の見えないほの暗さで、お城の石灯籠は冷たい風のわずかな湿気からかいつしかぽつりぽつりとようやく灯されるかぎり。見張り台はそのしばらくいったすぐ先に万一に備えて大きなかがり火を焚いて闇夜の中にも空に浮かんでそびえているはずで、その空をぼんやり照らす息苦しいほどの賑やかな光とたまらなくたたくように冷たい頬に触れる力強い熱気が今からもうとても恋しい心もちで少女は先を急ぐのです。
見張り台は中心の打ち上げ台にメーヴェをかかげながら明るく照らされ空を染め、別段いつもと変わりもなくやはり少女を静かに待っていました。
「ごくろうさま…!」
顔じゅうの髭の中に思ったより真剣な鋭い目を光らせる小太りの老人に少女は元気よく素早く挨拶だけすませてしまいます。あわただしく狂ったようななにか迫りくる木の葉たちの舞の中にも超然と、既にかがり火の輝きの中にどこか儚げに燐光を帯びて浮かんで見えるメーヴェの白い翼。するとどうしたわけか少女の心がむずむずと、なぜか不審にしばらくそれにとらえられてなんとなくそれが高揚させるのでした。そしてなにかしか囁くような見えない風。
「いい嵐なんじゃが、どうも妖しい…」
鋭く闇を見つめる瞳。大きなかがり火に飛び込んで真っ暗な夜空に旅立つその身に火を宿す木の葉。その漆黒の空に微動だに揺るがない巨大な城の風車も二つ対となり、なにか闇の中にも根付いた悪の魂に備えているよう。
「あっ、あそこっ…!」
金粉を散らされたように得体のしれない厚い雲が薄っすら美しく光ったと思った瞬間____________

残念ながら今日はここまでです。
何らかんらで谷はそのあと何らかんら救われます。予言者のおばあさんもいます。脇を固める子供もいます。
「姫様、青い異国の服を着ているの」
「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし。おお、古き言い伝えはまことであった…!」
青い服の少女は微笑みながらなおも金の光の上を歩きます。生まれたばかりの天使のように。

おわり
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