「dord」という英語の単語は、G・アンド・C・メリアム社(G. and C. Merriam Company、メリアム=ウェブスターの前身)のスタッフによる偶然の手違いから生じた辞書の誤り

1931年7月31日、ウェブスターの化学関係の編集者だったオースティン・M・パターソン (Austin M. Patterson) 編集用の紙片に「D or d, cont./density.」と記入した。これが意図してところは、既に存在していた「D」が略記として用いられる単語のリストに「density」(密度)を加えよ、という指示だった。ところが、この紙片は適切な位置に整理されず、「D or d」(D ないし d)が、すべての文字が繋がったひとつの単語「Dord」と誤解された。これはある意味では致し方ない誤りで、紙片に記される見出し語は文字と文字の間に空白を入れて印字されることになっており、「D or d」と印字されたものは「D o r d」と酷似していた。次いで、新たな紙片が印刷用に作成され、説明や発音が追記された。この、やがて単語として扱われることになる綴り字は、疑問を呈されることもなく、校閲者の点検も経て、1934年頃の辞書の771ページに掲載された [2]。「dord」は、「Dorcopsis」(ドルコプシス属、小型のカンガルー)と、「doré」(金色)の間に配置された[1]。