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(’-’*川スターニナッタラセイジカニナル✨jc!デス🐰ショウセツカイテミタオ🍹マタ♪
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0001jc!ダオ
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2022/01/21(金) 22:30:06.474ID:kDdfTaVrM
山火事のようなあの王蟲の怒りのなにか悪魔の庭園のような光を超えて、あわただしいその夜空を焼く恐ろしい屋根のてっぺんに、その少女は凛と真っすぐ前を向いて、異様で真っ黒ななにか宙で窮屈そうに足をもがく微かに鳴き声のするような、大きくも小柄で幼い王蟲とそろってペジテの浮砲台につり上げられながら大急ぎで、やっとのことでそこにたどり着きました。そこは少女の覚悟の死の狭間。はっきり祈りと契約、ほかならぬ神々との、その混じりけのない信仰のぽつりと残されるべき記念碑となる場所でした。
「あっ、ひめねえさま!」
「ひめねえさまっ!」
すると、突然現れた少女のその美しい姿を見つけた娘たちが、疲れて哀れな盲目の老婆のそばにしごく子供らしい、甘い蜜のような無邪気な声を上げます。そして今度は大人たちも同様に、ところが死に物狂いの勇気や気品というようなもののなにか悪というべきの前で迎えるその顛末にあたかも驚きよりはギョッと抑えた、震えて恐れた低い声で、その彫像のように身動きもしない真っ赤な宙に朦朧とただよう彼女の姿を空の影に迎えました。そして、あとはぴったりとそろってその口をつぐみました。
「おひい様!」
「姫様…!」
今、くねくねとしたワイヤーがしびれた二つの体に執念深く纏わろうというような悪戯な仕草をしますが、少女のその死の覚悟に共鳴してか、振り向くと闇に浮かぶ浮砲台は危険も忘れてこの上なく、丁寧というべきように無我夢中に少女らをその地の最後の隙間のようなその瞬間の、やはり自殺行為には違いない言い知れない悲痛な行為に敬意を示します。少女はそこに、静かに一人佇みました。
「えっ…! あんなところに?!」
「無茶な…!」
「おおおっ…」
ひどく取り乱し、気がちがったような谷の民。少女の目前に恐ろしく聳え立つ赤い剣幕が狂ったように地響きを立て迫っていました。
0002剃り残し ◆Sochan.8V2
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2022/01/21(金) 22:30:46.645ID:OLcUO/8N0
晩飯は?
0003jc!ダオ
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2022/01/21(金) 22:31:22.116ID:kDdfTaVrM
ナウシ●は眼前に迫る王蟲の呪いの竜巻のようなそれぞれ無数の足の激しく地をたたくのをただ一点を見つめ、そのまま青くほの白く輝くほかならぬ少女のいとけないその真摯な顔で迎えました。
土とカビのにおいが鼻を突きました。その後には生まれて初めて味わうような激しい地震のような衝撃、そしてすべての埃が白い蛇のようになって崩れ行く鋼鉄の船にそっと人々を永久に閉じ込めるように薄笑いをするように巻き上がりました。
そして少女は高く高く天へと弾き飛ばされ、闇にうごめく真っ赤な土煙の中にそのまま舞い落ち姿を消しました。どんな悪魔的な好奇心も神聖な、霊的な、処女的、聖母的な彼女のきよらかな姿をとても冷静にただ観察はできなかったでしょう。とうとう王蟲は血まみれになって、真っ赤な目もそのままに人からすべてを奪うように、魂にそれを刻み付けでもするように、すべて一突きずつ恨みを晴らして闇を崇拝するように、大地をたたいてつぶして踏み壊し続けました。ガンシップも戦車も、哀れな兵士や将校も男も娘も神がかった例外はそこには決して許さないように、封印するように。
するとどこかからか神さまの深いため息のような、あるいは無限の記憶から死者たちがよみがえりこの世の光をすべて閉じて務めを果たし、お互い睨みあって最期の勝鬨のような叫びのような、一方でもともとの自然の元来本当の悲しみむせぶようなやわらかな風が大きく吹いたと思うと、実に不思議なことに、惜しげなく燃え続け人を呪い世を呪い、生命や真実を闇へと戻すことこそを義務としていたかのような狂って熱く燃えていた王蟲たちの異常な目の攻撃色の赤い光がみるみるちょうど一点を中心とするように、呪いが神の許しをえるように一つ二つと、それからあっという間に広がって奇妙な恐怖のあらたな平静が妖しくながい破壊の果てに取り戻されていきます。
オームの足元に唖然として首をもたげる男がいます。クロトワでした。
空にエンジン音が聞こえます。ペジテのブリック。ユパが乗るものでした。
「王蟲の、攻撃色が消えていく…!」
地上では鋼鉄の城にかろうじてしがみついた民の中、老婆は血走った見えない目を天にいっそう耳を澄まします。
「大気から、怒りが消えた…!」
がれきからミトが顔を出して様子を見ていました。人々の顔も一斉に外に出ます。
「止まった、王蟲が止まったぞ…!」
王蟲はいつのまにやら螺旋状になって止まっています。静かにただかすかな風だけが人々の耳を撫でて澄ましていました。その中心にひとりの少女が、いえ美しく明るくて朗らかであったはずのあの少女の身体が一つ。それはただ細く、長く静かに悲しく砂に横たわるだけでした。それからやがてその亡骸を惜しむように、なついて縋ってむずかるようにあの王蟲の幼虫が寄り添います。また風がすこし生き生きとしてきて砂を舞わせます。なにかがそこに輝いて見えます。それは金に輝く王蟲の食指。それはとてもとても小さくか細い、ほんの幼い永遠に輝く真心ただそのものでした。
「ひめねえさまが!」
「おお…!」
人々はもはや、誰もが彼女の甘美な運命をその目で見守るぶるぶる震えた魂の観客でした。あまりに広すぎる、あまりに壮大な舞台の上で、やはり彼女は一人身動き一つできませんでした。それは、なにかをなみなみと人の魂の器に注ぎ、なにかを悠然と見えざる手ですくって捨ててしまうような真っ白な光景でした。朝日が人々の顔にこんこんと温かい赤白い霧を注ぎ始めます。
「ひめねえさまが、死んじゃった…!」
0004jc!ダオ
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2022/01/21(金) 22:31:46.504ID:kDdfTaVrM
それを聞くとじりじりと光を失った老婆はうなだれました。ああ、それでも老婆は神さまの救いを失わない…。一同が裁きの果てのめまいを感じると、さっとカーテンが払われでもするようにぬぐい切れない喪失感と悲壮感が、それぞれの険しい目の奥にある小さく押しつぶされてしまった心をつかんでまた揺さぶりました。
「身をもって王蟲の怒りを鎮めてくだされたのじゃ…。あの子は谷を、守ったんじゃ…!」
そういうとたまらず堰を切るように大声を上げて子供たちは老婆の胸の中で涙の叫びをあげました。老婆自身の心のように。男たちは首を振り、呆然と口に言葉もなくただ静かに涙を流しました。拝むようなその民の瞳に、涙のないものはどこにもありませんでした。
ナウシ●は朝の空気に前髪を託して揺らし、はるかな灰色のところどころつぎはぎに透き通った中央の青の天を見つめるように、率先して今度は天から地をまたはるかかなたに見下ろすかのように、今はその目を穏やかに静かにただ閉じていました。その顔はそこかしこに幾つもの傷を受けた寒々と赤く、あるいは青紫にあるいは黒く、どこからか紛れ込んだのか土の汚れなどが冴え冴えと能弁にその命の行方を示すようでした。なにか妙に、腑に落ちるような美しい表情でした。
王蟲は奇妙な沈黙を破ります。少なからず人々の目を惹きつけるありありと明るい、くっきりと金色のその食指の一群をそのおのおのに寸分たがわぬ確かな意思をもって朝日に恥じぬはなはだしい輝きでハッキリと、そして死に物狂いで呆気に取られている人々の目を後目にうねうねと音もなく、けれども見る見るうちに少女の亡骸を我先に求めるように、なにか明るく照らして装うように、眉根にしわを寄せながら天に捧げて飲み込むように、やがて軽々と、恐る恐る、けれどたちまちに高く、ふとその亡骸を持ち上げつつそのままどこかに覆い隠してしまいました。けれどもそれは、全く神さまの存在に疑いをさしはさむことのできないような、夢幻のような神々しい大変美しい光景でした。人々の目には今、猛烈に輝く黄金の野だけが残りました。やがて何度も何度も見てきたような新たな朝日のように、その黄金の野は中央から瞬く間に一面に輝き温かく、一層光って強まります。
「おお…!」
「み、見ろ…!」
「奇跡だ!」
これはどうしたことでしょう。
今や空が一面美しい金に輝き、見ればそこには奇妙な光がにわかにひどい大雪のように、あたりに音もなく次々降り注ぎ悲しみこそしばらく明々と照らされて、それがやがて誰もの心にあたたかく、いつまでもいつまでも涙とともに何度も刻まれ残るよう。妙なことに、この世の中の闇のすべてが祓われてしまったかのようでした。
静かに今、目を覚ましたものがおりました。あたりは目もくらむような光の花。まるでそのまま天国のよう。その顔にテトの澄ました口づけを頬に受けます。ナウシ●でした。ナウシ●が目を覚ましたのです。
「テト…」
ところが夢は覚めないようでした。見回せば神さまの歓喜のような光の地平。
ナウシ●はあわてて元来た道を戻ろうと思いました。すると光の下に盛んに見上げる小さな王蟲。そのあたたかい光とともに。
「よかった…、よかった…」
そこから、泉のように湧いてくる元気を感じてふわふわと一人、まるで雲の上を歩くように気を付けながら気を付けながら歩いてみます。するとなんとも言い知れないあたたかい光の吹雪が一面に起こって歓喜するよう。
「王蟲…、ありがとう。ありがとう…」
人々がその姿を見つけました。
「奇跡じゃ…! 奇跡じゃあ…!」
予言者はこの時ほど失った光を惜しんだ瞬間はなかったでしょう。
「なんといういたわりと友愛じゃ。王蟲が心を開いておる…! ああ…、子供たちよ、わたしのめしいた目の代わりによおっく見ておくれ!」
ひとり、その表情にはまだおびえがありました。子供たちが応えます。
「ひめねえさま、真っ青な異国の服を着ているの。まるで、金色の草原を歩いているみたい」
「おお…! その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし。おお、古き言い伝えはまことであった…!」
青い服の少女は微笑みながら、なおも金の光の上を歩きます。生まれたばかりの天使のように。
谷に風が戻ってきました。すっかり変わってしまった故郷を思って助けるように。

おわり
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