あたし「遅刻しそうで眼鏡とマスク忘れた。前髪で顔が隠れるようにしてたのに走ったせいで顔が見えるようになっちゃった」
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クラスメイト男1「誰だ? あの美人…………」ヒソヒソ
クラスメイト男2「あんな人クラスにいたっけ?」
イケメン「ねえ君……」
あたし『げぇ……っ! 学年一のイケメン君に声をかけられちゃった。目立ちたくないのに……』
あたし「あの、ちょっと急いでるんで」
イケメン「ちょっとまって!」
クラスメイト女1「あの女、イケメン君に声かけれてるっ!」
クラスメイト女2「悔しいけど美人過ぎてちょっかい出せない……っ!」 あたし『はぁっはぁっ! ……よし、マスクとか眼鏡とか用意して、髪で顔隠して、と』
友「あ、あたしちゃん、おはよう! いますっごく綺麗な人がいてねぇ」
あたし『へぇ……」
イケメン「あの人……誰だったんだろう……?」
あたし『やばっ……どうか見つかりませんように』
友「あたしちゃん、どうしたの?」
あたし「なんでもないよ。早く教室行こ」
ザワザワザワ……
あたし「なんだかざわついてるね」
友「うん、やっぱりさっきの人が原因かな」
学級委員「おはよう、あたしさん、友さん」
あたし「おはよう、学級委員くん」
あたし『学校で一番の成績の学級委員君か。この人も人気あるから、あんまり関わりたくないなぁ……』
友「おはよう」
学級委員「なんかイケメンくんが人探ししててね。何かあったか知ってるかい?」
友「それだったら、さっき……」
あたし「あたし、知りません!」
学級委員「そっか……じゃあ、授業の予習あるからこれで」
あたし「うん」
友「あたしちゃん、さっきからいったいどうしたの?」
あたし「なんでもないよ」
あたし『はぁ……目立ちたくないのになぁ……』 俺「」って違和感ないのにあたし「」は違和感しかないな 友「あたしちゃん、帰りに寄り道してこ」
あたし「いいよ」
あたし「友ちゃん、トイレ長いなぁ……」
あたし「ちょっとマスク外して身だしなみ整えておこ……」
男「きっ……君!? 突然で悪いけど、ちょっと話聞いてくれないか?」
あたし「はい?」
男「実は俺、映画監督なんだけど、ヒロインの理想が君なんだ!」
あたし「はぁ……」
監督「このとおりだ! 助けると思って演じてもらえないか!!」 ガバッ
あたし「ちょっ! こんな大通りで土下座とかやめてください!」
監督「受けてくれるまで土下座をやめない!!」
あたし「ああもうっ! 今回だけですよ」
監督「本当かっ!? ありがとう! ありがとう!!」
あたし『もう……目立ちたくないのになぁ……』 あたし「ヒロイン役をやることになったあたしです。よろしくお願いします」
アイドル「主人公役のアイドルです。よろしくお願いします」
ワーワーワー パチパチパチ!!
アイドル『あたしか……聞いたこと無いけど今まで見たこと無いほど美人じゃん。口説き落とそ』
アイドル「あたしちゃん、何かわからないことあったらなんでも聞いてね」
あたし『げっ! 超人気沸騰中のイケメンアイドルのアイドルさんじゃん! アイドルさんに関わったら絶対目立っちゃうって!!』
あたし「ありがとうございます。でもマネージャーさんもおりますし、大丈夫だと思います」
アイドル「そ、そうかい……」
アイドル「昼飯、一緒にどう?」
あたし「ごめんなさい。午後の撮影に向けて練習しなきゃいけないので」
アイドル「じゃあ僕も付きあおうか?」
あたし「親切にありがとうございます。だけど主人公との掛け合いシーンではないので」
アイドル「そっか、残念だね」
アイドル「これ、僕の連絡先。いつでも連絡かけてね」
あたし「スマホ持ってないので」
あたし『ということにしとこ』
アイドル「えー今時めずらしいね!」
あたし「そうですか」
アイドル「でも、そういうところしっかりしてそうで、僕は好きだな」
あたし「はぁ……ありがとうございます」
あたし『なんでこの人、こんなに話しかけてくるんだろ。関わりたくないのに!』
アイドル『この僕がこんなに話しかけてるのに落ちないなんて! こんなこと今までなかった…… 一体何なんだこの女は!』 あたし「ずっと好きでした!!」
監督「カット!! 凄くいい演技だよ!! 思わず引き込まれちゃったよ!」
あたし「練習したかいがありました」
演技指導「ちょっと練習しただけですぐものにしちゃうけど、それでも飽きたらず完璧を求めるんです。天才ってあたしさんのことをいうのかな」
あたし「仕事を引き受けた以上はあたりまえです」
監督「あたし……ねぇ、今回限りって話だったけど、次回作も出てくれないかな」
あたし「お断りします」
監督「そんな……一体何が不満なんだい!? 報酬も今の10倍出すから考えなおしてくれないかい?」
あたし「いやです」
監督「どうしても駄目かい?」
あたし「はい」
演技指導「あたしさん……もったいないよ……」 友「あたしちゃん! アイドルさん主演の映画見た?」
あたし「うん、見たけど」
友「アイドルさんもいいけど、ヒロイン役の女の子、すっごく綺麗で演技がうまかったよね」
あたし「そう?」
友「そうだよ〜〜! いまどこもその話題でもちきりなんだよ」
あたし『げっ! 目立ちたくないのに……』
あたし「そ、そうなんだ……どこがそんなに良いんだろうね」
友「あ、そんなこと大きな声で言っちゃうと……」
クラスメイト女1「あたしのやつ、ブサイクだから嫉妬してんじゃね?」
クラスメイト女2「ブスの僻みって、みっともなくね? あそこまで美人でおまけに演技もうまいと、悔しいけどアイドルさんとお似合いだわ」
友「ご、ごめんね。ほら、あたしちゃん向こういこ」
あたし「あ、ちょっと引っ張らないで!」 友「ほら、ヒロイン役の人を悪く言ったら大変でしょ?」
あたし「う、うん……」
あたし『アイドルさんとお似合いとか本気でやめて欲しいし』
友「もうスッゴイ人気なんだから! この記事見てみてよ」
あたし「なになに……? 評論家の記事?」
評論家『ヒロイン役さんの演技がすごすぎて、アイドルさん主演という話題をかっさらってしまった』
あたし「ふ〜〜ん……」
友「こっちも!」
アイドル『ヒロインさんとの共演は凄く刺激的だった! 悔しいけど、完全に足を引っ張ってしまったね。今度は演技力を磨いて、また共演したいよ』
あたし「はぁ……」
友「こんなに人気なのに残念なお知らせなんだけど、ヒロイン役さん、もう映画とかに出ないんだって」
あたし『そんなの当然だし! 目立っちゃうじゃん!!』
友「でも、映画監督さんが絶対に諦めないって書いてあるよ」
あたし『ゲゲッ!! もういい加減にしてほしいよ…………』 あたし「はぁ……なんだか今日はつかれたなぁ……」
♪〜〜
ギター「次はヒロイン役の子が話題の、あの曲を演奏するよ」
まわり「「「わぁ〜〜〜〜〜!!!」」」
あたし「あ、あれは映画の主題歌の曲だ」
あたし「映画はもうこりごりだけど、でも主題歌はちょっとよかったなぁ」
あたし「♪〜〜♪♪〜〜♪♪♪〜〜」
周りの人「…………」
あたし「ん……!?」
あたし『あれ……なんで周りの人達が見てるの? マスクもしてるし前髪で隠してるし、ヒロイン役だってばれてないよね……』
ギター「きっ君!! 突然で悪いけど、良かったら話を聞いてくれないか!!」
あたし「えっ!?」
あたし『なんか嫌な予感……』
あたし「あの、あたし急いでるんで……」
ギター「俺たち、普段は動画サイトで音楽をアップしてるんだけど、歌い手がいなかったんだ」
あたし「はぁ……」
ドラム「マスクで隠してるってことは、あんまり顔を知られたくないのかな? それなら安心して欲しい。歌をアップするだけだから」
あたし「そうですか」
ベース「絶対にばれないようにするから!」
あたし「でも……」
ギター「1曲だけだから! 人助けだと思って!!」
あたし「…………1曲だけですよ?」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています