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2021/12/31(金) 14:30:45.051ID:WQCEVxZ90剣太さんは部員たちに起こされても、違う方向を向いて動かなかった。竹刀を払われても拾おうとせず、持っているかのようなしぐさをした。重度の熱中症を疑うべき異常行動だ。ところが、顧問は「芝居やろうが! きつい振りすんな!」と怒鳴った。剣太さんは薄れる意識の中で命の危険を感じていたのだろう。面や道着を外そうとした。「何しよるんか」という顧問の問いかけに「本能です!」と答え、前に倒れた。
顧問は熱中症への認識が極めて低いだけでなく、この期に及んで、甚だしく暴力的だった。
顧問は剣太さんを立たせ、「演技やろうが!」と突き飛ばした。剣太さんはあらぬ方向に歩き出して壁にぶつかり、「あーっ」と叫んで崩れ落ちるように座り込み、仰向けに倒れた。顧問は馬乗りになり、怒鳴りながら10発程度の往復ビンタをした。
「目を開けろ! 俺は熱中症の人間を何人も見ている! そういうのは熱中症じゃねえ! 演技じゃろうが!」
壁にぶつかった時に額に負った傷の血が、飛び散る勢いだった。
剣太さんは何も反応しなくなった。目を見開き、白目をむいていた。部員たちが水分を取らせようとするが、すべて吐いた。
しごきが始まって1時間半後に「じゃあ行くか」
顧問が意識のない剣太さんに「じゃあ行くか」と言って、救急車を要請したのは、午後0時19分ごろである。約1時間半にわたり、しごきが繰り広げられていたことになる。自らも足にけいれんを起こし、歩くことがままならなかった弟が剣道場の温度を確認すると、36度だった。
顧問から連絡を受けた父の英士さんが病院に駆けつけると、剣太さんは荒い呼吸で目をカッと見開いていた。「うおー!」とうなりながら起き上がろうとするのを、英士さんは懸命に押さえた。母の奈美さんも病院についたが、夕方、剣太さんは亡くなった。体温は42度もあった。熱中症を悪化させた熱射病だった。
通夜の席で、弟から状況を聞いていた奈美さんは、剣太さんを殴り続けたことについて、顧問を問い詰めたが、顧問は「気付けのためにやりました」という言い訳を繰り返したという。