「ナウシ●、ナウシ●。おいで、おいで…」
懐かしい顔ぶれでした。悲しむような喜ぶような、ただ本能告げるような震える寒さのある、何一つ口にする必要のないような静かな心沈む行列の中でした。振り向けば大きな大好きなお父さんの胸。
「あ、私、そっちに行きたくないの…」
口にするとナウシ●は直ちに取り囲まれてしまいます。
「やはり、王蟲の妖精です」
「蟲に、取りつかれていたのか…」
ナウシ●は何か大切なものが握られ、身体から奪われようとするのに必死に抗いました。けれど願いは空しく、やはりそれはただ取り上げられてしまいます。
「何も悪いことしてない!」
「蟲と人とは同じ世界に生きられないのだよ」
「お願い、殺さないで…、お願い…!」
そこで、ナウシ●は一つ息を吐いて目を覚ましました。そこはダイヤモンドの神殿のように美しい、静かで
「不思議なところ…」
水が流れていました。生まれて初めて嗅ぐような清らかな自然のにおいに満ちていました。
「やあ! やっと見つけてきたよ。気分はどう?」
凧を頭上に掲げながら、快活な笑顔を向けて男の子が近づいてきます。
「ここは、どこ?」
「まずは礼を言わせてくれ。ボクは______」

何らかんらで谷はそのあと何らかんら救われます。予言者のおばあさんもいます。脇を固める子供もいます。
「姫様、青い異国の服を着ているの」
「なんじ青い衣服をまといて金色の野に降り立たん。おお、言い伝えは本当であった」
青い服の少女は微笑みながらなおも金の光の上を歩きます。生まれたばかりの天使のように。

おわり