「モンスター」の語を独占しようとするモンエナ

エナジードリンク「モンスターエナジー」を製造販売する米国企業モンスターエナジー・カンパニーは、エセ商標権の代表選手というべき存在だ。エナジードリンク市場でトップシェアに位置するブランドとして、「モンスターエナジー」のブランド保護に取り組むのはわかる。

だがこの会社が異様なのは、「モンスター」を一部に含む、しかもエナジードリンクや飲料とはまったく関係のない、ありとあらゆる業種の企業に対しても、執拗にケチをつけているところなのだ。

標的にされたのは、例えばディズニー/ピクサーの「モンスターズ・ユニバーシティ」、ネットフリックスの「スーパーモンスターズ」、マテルの人形「モンスター・ハイ」、カプコンの「モンスターハンタークロス」、MIXIの「モンスターストライク」、漫画家・オカヤドの「モンスター娘のいる日常」(徳間書店)、さがみ湖リゾートプレジャーフォレストのアトラクション「マッスルモンスター」、映画会社レジェンダリー・ピクチャーズのハリウッド版ゴジラ作品のシリーズ名「モンスターバース」など、極めて幅広い。

果ては、日本が世界に誇る任天堂の「ポケットモンスター」のロゴ(図1)に対してまで、「モンスターエナジーのブランドに対するフリーライド(便乗)である」とのたまった。ちなみにモンスターエナジーの発売は2002年、ポケモンの最初のゲームソフトの発売は1996年である。

おまけに、1952年から続くフランスの有名なダウンジャケットのブランド「MONCLER」(図2)も標的にされている。念のために書くと、読みは「モンクレール」である。もはや、モンスターですらない!

ここまでくると、何らかの戦略的な判断に基づく行動というより、何も考えずに「モンスター」っぽいものが目に入ったら反射的に殴りかかっているだけにしか思えない。まさに狂気のモンスタークレーマーである。