「あの、親方。そのことですが・・・」
「言っとくが、うちの板前になったからにはやってもらうぜ。ここの伝統でもあるんでな。うちを辞めるならそれでもいいが、俺は結構寿司屋の中で顔が利いてな。この地方で板前やるのは諦めたほうがいいぞ。どうすんだ?」
そんな・・・
まだ新米の武にすれば、よその地方でやっていく自信などない。
ならば、この店でやっていくしかない。
よし、俺も男だ!腹くくるぜ!
「押忍!自分も男寿司の一板前として、武台で立派に男にならせていただきます!」
大声で決心を告げる武を見て、良一は満足そうにうなずいた。
こいつは本当に活きのいい男が来たもんだ。
これからこいつを一人前の男に鍛えるのが楽しみだぜ!