欧州各地で長く停止していた徴兵制を復活させたり、兵役の対象者を拡大したりする動きが広がっている。ドイツで兵役再開の是非が議論されているほか、すでに再開した国もある。ウクライナ侵略を続けるロシアへの警戒感に加え、北大西洋条約機構(NATO)の同盟国である米国への信頼低下が背景にある。

ドイツのボリス・ピストリウス国防相は今月4日、若年層の新規入隊拡大へ向けた方策を検討していると明らかにした。何らかの形で義務的な兵役の再開を目指す意向とみられる。

すでに徴兵を再開した国もある。ラトビアは今年1月、18年ぶりに徴兵制を復活させ、18~27歳の男性に原則として11か月間の兵役を義務付けた。

クロアチアでは、09年のNATO加盟直前に兵役が停止されたが、再開へ向けた調整が進んでいる。

デンマークは今年3月、26年から女性を徴兵対象に加えると発表した。欧州で女性に兵役を義務付けるのはスウェーデンとノルウェーに続いて3か国目だ。

フランスではマクロン大統領が17年の大統領選で兵役再開を公約したが、対象となる若者らの反発で今も実現の見通しは立っていない。