「瀬戸黒」で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された陶芸家の加藤孝造さんが88歳で亡くなったことに、ゆかりの人たちが生前の功績をしのび、その死を悼んだ。

 瑞浪市で生まれた加藤さんは、瀬戸黒の人間国宝だった荒川豊蔵さん(1985年に死去)から薫陶を受け、安土・桃山時代から美濃の里で焼かれた陶芸の伝統を継承しながら、志野や黄瀬戸、瀬戸黒などの制作に没頭。荒川さんが亡くなった後、瀬戸黒の人間国宝は認定が解除されたが、加藤さんが2010年に2人目の認定を受けた。

 多治見市や可児市に穴窯を築き、作陶に打ち込んでえっショックきた加藤さん。穴窯での作陶は4昼夜かかるというが、21年4月、前年に制作した瀬戸黒と志野の茶わん各2点を多治見市に寄贈した際には、「最近は年1回できるくらいだが、納得のいくものができたら、あと4点は寄贈したい」と意欲を見せていた。
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