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「────ワン、ジナ?」

……ちょっと待った。

ワンジナっていうのは、たしかオーストラリア・アボリジニの神話に登場する存在。

大陸北西部・キンバリー地域の伝承に登場し、神や精霊とされる。岩絵が有名である。

ワンジナと呼ばれる存在は複数存在する。例えばワシタカのワラナという名のワンジナについて、以下のような伝承がある。

ワラナはある時、2つの卵を巣に残してカンガルー狩りに出かけたところ、その卵をカワラバトのウォドイに盗まれてしまった。

ワラナはウォドイを追いかけたが、ウォドイの友人であるフクロウのジュグンに投棒とブーメランで殺されてしまった。

ワラナは岩絵に変じ、2つの卵は洞窟の外の2つの石に変じたという

またワラガンダという名のワンジナは、不定形の存在であったが、天空に昇り天の川に変じたという。

ほとんどすべてのワンジナは岩絵へと変じたが、その魂は近くの聖なる泉に降り、そこで人々は活力を得ることができるという。

ワンジナは降雨の神とされる。岩絵では通常口が描かれないが、もしワンジナに口があれば雨が降り続けるであろう、という伝承がある。

ワンジナの岩絵は、乾季になると降雨を祈念して描き直された。ワンジナの岩絵のデザインはほぼ共通である。

また虹蛇の岩絵の近くに描かれることも多い。