ちょっと長いかも
こんな感じ

女子高生・有栖メル(16)は極度の匂いフェチ。
その嗅覚は異常で、匂いだけでその人の気分や趣向や心理までわかってしまうほどだった。
メルはいかなる匂いも愛しているが、その中でも一際好きなのが同級生・橋本サラ(16)の匂いだ。

ある日の体育の授業中、教室が空なのをいいことに、メルはサラのロッカーから勝手に制服を出し、衝動のままに匂いを嗅いでしまう。
しかし、その現場をサラに目撃されてしまった。
メルは自身の高校生活が終わったとを覚悟するが、以外にもサラはメルのことを許すばかりか、また匂いたくなったらいつでも言ってと告げる。
メルは予想外のサラの反応に戸惑いつつ下校していると、ある街角の路地裏から今まで感じたことのない強烈な臭気を感じる。
匂いそのものを愛するメルにとって、強烈な不快感を催す匂いは生まれて初めてだった。

翌日、サラは昼休みにメルを呼び出す。
サラは言った通り、メルに匂いを嗅がせてくれた。
相変わらずサラはいい匂いだが、いつもは読み取れるはずの相手の心理がさっぱりわからなかった。
メルはサラに、なぜ許してくれるのかと聞く。
サラは「だって、誰にだって秘密はあるでしょ?」と笑い、私の秘密も教えてあげる、と言う。
「私ね、人殺しなの」
メルは固まるが、サラはすぐに冗談だと笑う。サラの匂いから彼女の真意は読み取れないが、昨日あの街角で感じた不快な匂いがうっすらとした。

モヤモヤを引きずったまま、メルは夕食どきにテレビであるニュースを見る。
15年前に発生した未解決殺人事件と似た手口で、新たな殺人事件が起こったという。
テレビ画面には、事件現場が映る。
それは、昨日通ったあの路地裏だった。