性同一性障害の経済産業省職員に対するトイレ使用制限を巡り、国の対応を「違法」とした最高裁の判断。学校現場では、トランスジェンダーなど性的少数者の子供に対する配慮として、文部科学省が職員トイレの利用を認めるなど、きめ細かな対応を求めてきた。大人のように声を上げにくい年頃とあって、今回の最高裁判決を踏まえ、同省の担当者は「継続して配慮を呼びかけていく」と述べた。

住宅設備機器メーカー「TOTO」の調査では、トランスジェンダーの人が体の性で割り当てられたトイレを使うことに違和感を覚えた時期は小学校高学年と中学生で3割近くを占めており、学校のトイレが切実な問題だと分かる。メーカーなどでつくる「学校のトイレ研究会」によると、性別に関係なく使える共用トイレは増えつつある。

例えば、愛知県豊川市立長沢小には従来の男女別トイレに加え、女子用、男子用、男女共用、男女共用で車いすでも利用可、男子用小便器の5つの個室があるトイレが設けられている。入り口は共通で、どの個室に入ったかを分かりにくくするように設計。36ある市立小中のうち26校にこうしたトイレを設置している。

学校のトイレ研究会の冨岡千花子事務局長は「友人の目が気になるので職員トイレを使いたいという子供もいれば、それはかえって目立つと考えて抵抗感を覚える子供もいる」とニーズの多様さを指摘する。その上で、「学習で性に対する理解を深めながら、使いたいトイレを選べる環境をつくる。学校はソフトとハードの両面で対応していくのが理想的だ」と話した。
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