中四国地方の100万都市である広島市。しかし実際には都会ではなく田舎だったことが分かった。

「広島は、東京、大阪、名古屋、札幌、福岡に次ぐ全国6大都市だと自称していますが、大きな間違いです。都会を名乗るうえで必要不可欠な地下鉄もありませんし、旧帝大やヨドバシカメラだってない。Zeppやアップルストアが進出したこともない。仙台とは都市格の次元が違うのです」(仙台市民)
ちなみに地下鉄が存在しない理由について、一般に広島市民はデルタ地帯で地質的に困難だという理由を挙げるが、実際には東京メトロ東西線のように地盤のゆるい場所でも地下鉄路線がある例は全国に幾らでもある。ようは費用対効果に見合うほどの都市規模がないというのが本当のところのようだ。

実は広島市は完璧な100万都市ではない。戦後昭和に大合併を遂げ、市域をやたらに広げたことで今の人口になっているが、旧市内と呼ばれる合併前の4区に限ればわずか60万人。なお、旧市内と同じ面積の川崎市には150万人が住んでいる。
「旧市内と市外の分断線はいまだに明白で、合併で広げた地域は集落もほとんどない険しい山奥村ばかり。これで100万都市を名乗るのは詐欺に等しいと思います。ちなみに広島には都市高速が存在していますが、いずれも実態はただの有料道路だったり、箱根新道みたいな登山道路。こんなインチキみたいな100万都市は、広島しかありません」(広島在住経験者)

なぜ広島は都会になることはできなかったのか。その鍵は広域的な拠点にあるという。先述の仙台は東北地方の中心都市として栄えた。北海道なら札幌、九州はもちろん福岡市がそうだろう。だが広島が属する中四国地方の場合、交通拠点は岡山になってしまう。
「1970年代に山陽新幹線が岡山に暫定開業した時点ですべては決まっていました。その後の瀬戸大橋開通などもあり、山陽と山陰(日本海側)、四国を結ぶ要衝は岡山と確定しました。例えば企業は中四国支店を設置するとき、必ず広島ではなく岡山に進出します。テレビ東京も岡山では映りますが広島では映りません」(岡山市民)
もともと広島と岡山には大きな格差があったが、拠点都市一極化が進むにつれ、岡山市も政令指定都市に昇格するなど頭角を現してきている。いまや周辺を含めた都市圏で見れば、広島都市圏よりも岡山都市圏のほうが人口も経済力も大きいほどだ。目を細めながら岡山市民がこう続ける。
「九州ではかつて福岡市より北九州の方が先に100万都市になりました。しかし福岡の急成長とは裏腹に、北九州はこの20年没落が進み、いまでは90万都市です。理由は北九州は産業都市だったから、高度成長期が終わって八幡製鉄所がお役御免になったと同時に旧炭鉱町よろしく街が死んだのです。「マツダ」依存の産業都市の広島は他人ごとではありません」
製鉄業などと異なり自動車産業は日本経済の要として平成時代になっても寂れることはなかった。しかしガソリン車からEVにシフトする中、旧態依然な日本の自動車メーカーの未来は暗いだろう。

かつての家電業界がそうなったようにテスラやヒョンデなどに食い込まれてしまえば、トヨタやホンダ、日産あたりの御三家までは世界的なプレゼンスをかろうじて維持しても、それ以下のメーカーは苦しくなる。夜郎自大に現状に甘んじていればマツダが終わった時点で、広島は「第二の北九州」になるというわけだ。