被爆地・長崎「忘れているんじゃないか」 G7首脳らの訪問かなわず
https://mainichi.jp/articles/20230519/k00/00m/040/260000c

被爆地の広島市で19日開幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)を巡っては、出席する米国のバイデン大統領がもう一つの被爆地・長崎を訪れる案が一時検討されるも見送られた。
原爆投下国の米国を含め核兵器を保有する3カ国の首脳が集まりながら長崎訪問の機会はなく、長崎の被爆者団体のリーダーたちからは落胆の声が上がった。

 被爆者団体「長崎原爆被災者協議会」の田中重光会長(82)は、長崎市の自宅のテレビで、G7首脳たちが広島市の原爆慰霊碑に献花する様子を見て「G7首脳がそろって献花したのは意義がある」と話した。
首脳たちは原爆資料館も視察。田中さんは「具体的に核軍縮につながる内容を共同宣言に盛り込んでほしい」と語った。

 一方で、無念さも。
長崎市では、14日にG7保健相会合に出席した各国の閣僚らが平和祈念像前で献花。
閣僚級の国際会議自体が市内初の開催となったが、公式に長崎で被爆者から証言を聞く機会などはなく、田中さんは「広島と差があり、『長崎を忘れているんじゃないか』とすら感じる」と話す。