「脳の電気活動をエネルギー源にする」というアイデアは、しばしばSF映画などでみられます。

しかし米国のカリフォルニア大学(University of California)で行われた研究によって、脳に巣くうがん細胞たちは、人間の想像より遥か以前から、同じアイデアを実行に移していることが示されました。

新たな研究では、脳腫瘍の一種である悪性神経膠腫には、思考や運動など脳が発する電気的信号が腫瘍内部に引き込まれるように脳回路を作り変える能力があり、吸収した信号を自らが増殖するためのエネルギーとして使っていることが示されています。

これまで脳腫瘍による認知機能の低下は腫瘍による脳の圧迫や血液の横取りにあると考えられていましたが、どうやら「腫瘍による脳のエネルギーの吸い取り」も大きな影響を与えているようです。

さらに研究者たちは「脳と腫瘍」が脳の奥深くでささやき合っている可能性を示唆しており、この「声」を盗聴することができれば、治療に大きく役立つと述べています。

しかし腫瘍たちはいったいどんな方法で、脳のエネルギーを吸い取っていたのでしょうか?

研究内容の詳細は2023年5月3日に『Nature』に掲載されました。

https://nazology.net/archives/125845