─科学技術論と人間、という作品を創られてきた富野さんから見て、AIの時代をどうご覧になりますか。

富野『20世紀までの科学技術の進歩、というのは基本的に認めます。
ですが、AIという言葉が出てきて以降に関しては懐疑的、これは人類の首を絞めるものだと思うようになりました。
だからこれで人類は絶滅していくでしょう。
そういう技術を使うことによって人間自身の“自力”がなくなっていくから自滅します。
だって介護までロボットがやるようになってしまったら介護という努力をしようという意識を削ぐことになります。
そういうことがあらゆる面で起こってくるでしょう。
便利になりすぎていったら人間は自堕落になるだけです。
ゲームをするしかなくなる。
でもゲームをする人間で生産性のある人間がどこにいます?人類は、自分の首を絞めるところまで行きつきました。
これは取り戻しがきかないでしょう、一度死に絶えるところまで行かないとダメでしょうね。
そして次世代の子どもたちにはこの悲惨な現在を脱出する方法を見つけ出してほしいと思うし、そういう子どもに育ってほしいと願っていますが、恐らく今後500年ぐらいはありえないでしょう。それぐらいのことです。
今の技術が突出しすぎてしまったという問題に気が付いていない、技術論だけでなく、それを使う政府など組織論までがそうなっているからです。
だから、我々の時代はここまでしかできなかったです、ごめんなさい、と言って子どもたち、孫たちに受け渡さなきゃいけない、という自覚を持つべきだと思います。』

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