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 翌朝登校したところ十二天は既に着席していて、昨日買っていたUFO関連の本を読み耽っていた。ブックカバーもかけずに読んでいるものだから、周りの皆から刺す様な視線をひしひしと感じる。もっとも十二天本人は他者からどう思われるかなんて全く興味が無いようだった。
 おはようと挨拶してみるが返事は無かった。よっぽど集中しているらしい。
 あまり執拗に声をかけて俺まで悪目立ちするのは避けたいので、それ以上深追いはしなかった。
 昼休みになるとお調子者で通っている男子生徒が十二天へ話しかけると言う暴挙を働いた。相変わらず本を読んでいる彼女へ強引に話しかける。
 十二天も流石に気付いたのか、どうかしたのと返事をした。反応があったことで調子づいたお調子者はマジでUFO探してるのとか、連絡先交換しようよとか、今度の土日遊びに行かないとかとにかくガツガツ当たっていった。
 それに対して十二天はそうだよとか、スマホ持ってないんだとか、家族と用事があるんだとか、冷たい印象は与えない程度に、だがしかし愛想は薄く淡々と答え、そして本の世界へ戻っていった。
 哀れ玉砕したお調子者は、クラスでしばらくの間勇者と呼ばれることになり、今後彼女にアプローチする男子生徒は居なくなったのであった。