黒海沿岸の小さな町。景気低迷と人口流出ですっかりさびれ、活気がない。
人々は借金をかかえて苦しい生活をしいられていた。

その町へ一人の旅人がやって来た。
そして町に一つしかないホテルに入ると、受付のカウンターに100ユーロ紙幣を置き、部屋を選ぶために2階のフロアーに上がって行った。
ホテルの主人は100ユーロ紙幣を引っ掴むや借金返済のために肉屋へ走った。
肉屋はその紙幣を持って養豚業者へ走り、100ユーロの借金を返した。
養豚業者はその紙幣を握ると、ツケにしてあった餌代と燃料を払うために販売業者に走った。
販売業者は、良心的にもツケで相手をしてくれる町の遊女のもとへと走った
遊女はその紙幣を懐に入れるとホテルに走り、たびたびカモを連れ込んだ稼いでいたホテルに借りていた部屋代を支払った。
ホテルの主人は、その100ユーロを受け取ると、カウンターのもとの場所に置いた。
ちょうどその時、部屋をチェックしていた旅人が急用ができたと言って100ユーロ紙幣をポケットにしまい込み町から出て行った。

誰一人として懐が潤ったわけではないが、町中の誰もが借金を返済し、皆笑顔になり将来に対して明るい希望を抱き、町は活気を取り戻した。