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トイレはどこにあるんだよ、と聞くと、
海の家の外にあるんだが、
臭いし汚いし、
何より明かりが無いから暗くて怖い、と
そいつは情けない声を出した。

俺はやれやれと思いながらそいつと廊下を抜け、
海の家の玄関までやってきた。

そして玄関の戸に手を掛けようとした時、
突然

「何しよんかあぁ!!」

と大声が響いた。

心臓から口が飛び出しそうになった俺が慌てて振り向くと、
民宿のおっさんが懐中電灯をこちらに向けながら
憤怒の形相をしていた。

「いや、こいつがトイレに……」

と言おうとすると、
おっさんが

「出て行けぇ!!」

と言いながら何かの粉をこちらにぶつけてきた。

塩だった。

俺は訳も分からず

「はい、はい、すんません」

と言いながら出て行こうと戸に手を掛けると、

「お前じゃない!!そいつだ!!」

とおっさんは叫んだ。

俺が混乱しながら突っ立っていると、
突然パチンと音がして辺りが明るくなった。

おっさんが電気を点けたのだった。

と、隣にいたはずの友人がいなくなっていた。

代わりに、
俺とソイツが歩いて来た道筋に、
濡れた足跡が点々とこちらまで続いていた。

「危なかったな。沈められるとこだったぞ」

とおっさんは言った。

おっさんに「もう寝ろ」と言われ、
全身鳥肌を立てながら部屋に戻ると、
俺以外の全員の部員が布団で寝ていた。

抜け出していたのは俺だけだった。