俺は大きな声で叫んだ「いらっしゃいませえええ!」
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20年ぶりだろうか
このガソリンスタンドでいらっしゃいませを言うのは
20代の頃にバイトしてた店舗に久しぶりに給油にきたのである
もう知ってる顔はいない
給油機の数も4機だったのが6機に増えていた
店舗の中も改装されてて当時に比べて随分と綺麗になったもんだ
わかりやすくオイルの値段がデカデカと貼られていた
俺は田井中 澪 40歳のサラリーマンだ
また一台来店した車がきた
俺」いらっしゃいませー!」
店員が驚くくらいの大声をだした
みんな目が見開いている
当時も俺より声のでかいやつはいなかったな
俺は声出しだけは近所で定評があった 俺「オーライ!オーライ!」
キレは昔のままじゃないか
お客さんが見える位置まで腕を上げて大きく後ろに振る
そして大きな声で言うのだ
俺「はーい!おーっけーでーす!」
そして俺は笑顔で運転席まで走って向かう
俺「いらっしゃいませ!」ニコッ
店員「あの。…」
大袈裟かもしれないがこれはお客様との取引の契約の瞬間である
それをいちバイトが水を刺すなどありえないわけである 俺は怒鳴りそうになったのを落ち着かせて、笑顔でまたお客さんの方を向いた
お客さんも私服の俺をみて少し困っている様子を見てだった
そうだ俺はもうここの店員じゃない
制服もきてない
お客さんにはただのおっさんに映ってもおかしくないのである
ただ先ほどの声出し、誘導を見てたはずだ
耳に入った情報と目に映る光景のギャップに戸惑っているのであろう
落ち着かせるためにはどうするべきか考えたが、さっさと給油してもらうことが早いと思い話を進めた
俺「油種はいかがなさいますか?」 客「レ、レギュラー…」
俺「お支払いは現金でよろしいですか?」
その時少し偉そうな店員が俺の肩を掴んだ
店員「君なにしてるの?」
俺「給油です」
店員「???」
店員もパニックになってるようだ
そりゃそうだ
客が客に接客をし、給油をしようとしている
しかも段取りは完璧だ
何を指摘したらいいのか多分瞬時に思いつかないのであろう
目的は同じだ
ただ立場が違う
大昔からこの問題は世界で起こっている
敵ではないことはわかった
じゃあどうやってお互い分かち合うか
これが大きな壁であり、人類の課題なのである お客さんの注文を聞き給油を始めようとしたら給油機が新しくなっているせいで操作の仕方がわからなかった
俺は時点に拳を叩きつけた
くそう!結局だめじゃねえか…
今と変わらねえ
どんだけ努力してもそこには一人で超えられない壁が必ずある!
どこで何をやってもそうだ
俺は地面を何度も何度も叩きつけた ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています