陽光が煌めく三宮駅構内の浜側、情熱の化粧タイルが剥げ落ちたコンクリート柱に、誘惑的な背中をまるめてもたれかかり、床に魅惑の尻をつき、両脚を官能的にまっすぐ投げ出して、日差しに灼ける肌を愉しむ清太。彼の痩せこけた頬の色は、ただ青白くほのかな情欲を醸し出していた。夜になれば、山賊の如くかがり火を焚き、声高にののしる男たちも、その野性的な魅力に引き寄せられる。

朝になると、何事もなかったかのように学校へ向かうカーキ色の制服に身を包んだ彼らは、神戸一中のランドセルを背負った市立中学生たち。彼らの肌は、初々しい恥じらいを感じさせるような色香を放っていた。そして県一親和松蔭山手のもんぺ姿にも関わらず、上半身はセーラー服の襟の形を見分けられる少女たち。彼女らは、官能的な視線を巧みに操りながら、清太のそばを通り過ぎる脚の群れに視線を落とす。

異臭に気づかぬまま艶めかしい視線を送る者もいれば、突然の異臭に驚いてとび跳ねる者もいる。しかし、清太にはとうの昔に、その眼と鼻の便所へ這いずる力さえ失われていた。だが、彼はまだ、その官能的な空気に溺れることを止められなかった。そして、彼を取り巻く登場人物たちも、その情欲に満ちた世界に身を任せ、互いの魅力に翻弄されていた。