「コオロギ食」への嫌悪感は「ネオフォビア(新奇性恐怖)」なのか

 政府のデジタル大臣が試食し、それがネット上で問題視されるなど、最近になって物議をかもしているコオロギ食だが、コオロギを食べることに心理的な抵抗がある人が多いことも背景にありそうだ。新奇なものに恐怖を感じることをネオフォビア(Neophobia、新奇性恐怖)というが、日本人にとってのコオロギ食はネオフォビアなのだろうか。

(中略)

 日本人にとっての昆虫食は、イナゴの佃煮や蜂の子などがあり、それほどなじみの薄い食材ではないが、若い世代でそのことを知っている人は多くなさそうだ。また、コオロギはその色や形が、バッタよりも我々が忌み嫌っているゴキブリのほうにより似ている、ということもあるだろう。
 肉食への贖罪意識やSDGsなど環境影響への懸念が強い欧米では、次第に昆虫食が市場に浸透し、昆虫が新奇性のある食材ではなくなりつつあり、それとともに受け入れられている(※11、※16)。
 ネットなどでのコオロギを食べることについての日本人の拒否反応や嫌悪感は、一種のネオフォビア(新奇性恐怖)といえ、これは昆虫食になじみの薄い欧米人と同じ反応といえる。日本でもコオロギ食が一般的になれば、ネオフォビア(新奇性恐怖)を感じる人も少なくなっていくはずだ。

https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20230301-00339232