清太は愚かでも、自分本位の行動は一切していないと思います。

宮崎駿さんが火垂るの墓について、
「兄の甲斐性なしを指摘する者がいるが、彼の意志は強固だ。その意志は生命を守るためではなく、妹の無垢なるものを守るために働いたのだ。」
と書いています。

兄は妹に、母の死を隠そうとしますし、海辺の死体についても本当のことを言いません。
おばさんの家で何もしないのも(坊っちゃん育ちということはあるにしても)妹のそばに少しでもいてやりたいという気持ちがあると思います。

清太には、ひもじくても防空壕で二人で耐えていれば、じきに日本が勝って父親が迎えに来るという希望があったのでしょう。