女「ンジャメナ知ってるとしりとりって終わらないよねw」男「お前ンジャメナの何を知ってるんだよ」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
女「しりとりってさ、最後に“ん”のつく言葉を言ったら負けなゲームじゃない」
女「なんでかっていうと、“ん”から始まる言葉はないから」
男「それがどうかしたか?」
女「だけど、ンジャメナ知ってるとしりとりって終わらないよね」
女「だって、相手が“みかん”って言っても、“ンジャメナ”で続けられるもん」
男「……」
男「お前ンジャメナの何を知ってるんだよ」
女「え?」 男「知ってるっていうからには知ってるんだろ? ンジャメナってなんだよ」
女「え、と……地名でしょ?」
男「どこの?」
女「え、どこって言われても……」
男「おいおい……そんなことも知らないで、知ってる扱いはないんじゃないか?」
男「ンジャメナに失礼だろ」
女「ごめんなさい……」 男「……」
女「……」
男「ンジャメナについて……知りたいか?」
女「うん、まあ……」
男「仕方ないな、だったら教えてやるか」
女(教えたくて仕方なかったのね) 男「ンジャメナってのは、チャド共和国の首都だ」
女「え、霊圧が消えるの?」
男「絶対言うと思ったけど違う」
男「チャドはアフリカ中央部の国だ。赤道のちょっと北らへんにある」
男「周囲はリビア、スーダン、中央アフリカ、カメルーン、ナイジェリア、ニジェールに囲まれてる」
女「ふんふん」
男「面積は128万4千平方キロメートル。日本のおよそ3.4倍だ」
女「おっきい!」
男「人口は1643万人だ。ほとんどがスーダン系の黒人で、200近い民族に分かれている」
女「200! 多いね〜」 男「言語はフランス語とアラビア語が公用語。宗教的にはイスラム教徒とキリスト教徒が多い」
女「ところで言語っていうと……」
男「ん?」
女「そもそもチャドってどういう意味なの?」
男「チャド湖って湖に由来してる」
女「へえ、そんな湖があるのね」
男「チャドは現地の言葉で“大きな水域”って意味があるんだ」 男「ここでチャドの歴史について簡単に説明しておこう」
女「うん」
男「9世紀前半、チャド湖の近くにカネム王国が興る」
女「なんだかお金が無さそうな国ね」
男「変なこと言うな」
女「9世紀って800年代だよね? 日本でいうと……」
男「鳴くよ(794)ウグイスの平安時代だな」
男「やがて、この国は王朝の交代やら遷都やらがあって、ボルヌ帝国となる」
男「この二つの国は連続性があるからまとめてカネム・ボルヌ帝国なんていわれる」 男「1893年ボルヌ帝国は滅ぼされ、この地域もヨーロッパのアフリカ進出の脅威に晒される」
男「1900年にフランス領チャドが成立し、1910年にはフランス領赤道アフリカと改称した」
女「フランスが占領したんだ。そういえばフランス語が公用語だもんね、ボンジュール」
男「そうだ。だが、50年後の1960年に独立を果たす」
女「1960年といえば、“アフリカの年”ね」
男「その通り。アフリカで17ヶ国が植民地を脱して独立した年だ。チャドもこの年に独立することができた」
女「よかったわね」
男「ただ、その後も独裁政権やクーデターが相次いで、1990年イドリス・デビ氏が大統領に就任」
男「長期政権を維持したものの、2021年反政府勢力との交戦で負傷し、亡くなってしまった」
男「今後情勢がどうなっていくかは分からないな」
女「独立はしたけど、まだまだ不安定な国なのね」 男「さて、ここでンジャメナの話に移ろう」
女「うん」
男「この都市の起源は、1900年に建設されたフォール・ラミにある」
男「この名前はフランスの司令官アメデ・フランソワ・ラミに由来する」
女「全然ンジャメナじゃないね」
男「そして、1973年に“place of rest(癒しの場所)”を意味するンジャメナに改名される」
女「癒しの場所かぁ、ゲームだったら回復スポットだね」
男「休むとHPとMPが全快するんだな」 チャドの首都だけど相当はじっこにあって
カメルーンから不自然に伸びた土地は植民地支配のせいなのかね 女「ンジャメナの人口は?」
男「人口は2021年統計で152万人。これは……神戸や福岡市と同じぐらいだな」
女「結構多いね」
男「うん、しかも人口は上昇傾向にある。そして、ンジャメナ内には10の行政区がある」
女「東京23区みたいな感じか」
男「地理的にはシャリ川と支流のロゴーヌ川の合流点にある」
女「シャリ川……なんだかお寿司食べたくなってきた」 男「実際、シャリ川では漁業も盛んだ」
女「そうなんだ!」
男「特にナイルパーチは重要な産物になっている」
女「ナイルパーチ?」
男「大型の淡水魚だ。食用として需要も高く、スズキに似た淡白な味の白身魚で、ムニエルにすると美味だぞ」
女「今度食べてみようっと!」 女「気候はどんな感じなの?」
男「チャドが赤道に近い国だから当然だが、暑い」
男「気温は年平均で25℃以上、降水量は500mmぐらいだ。4月がもっとも暑く、40℃に達することもある」
男「ちなみに、日本の東京の年平均気温は15.4℃、年降水量は1528mmだ」
女「東京と比べて、ずいぶん暑いし、乾いてるってことがよく分かるね!」
男「ただ……乾いてる分、日本に比べてカラッとした暑さかもしれないけどな」 男「ンジャメナで最も重要な産業は食肉・魚・綿花の加工だ」
男「また、日用品の交易地でもあり、家畜・塩・ナツメヤシ・穀物が取引される」
女「……」
男「どうした?」
女「家畜は分かるよ? 塩も分かる。穀物も。だけどナツメヤシってあんまり馴染みがないから……」
男「じゃあちょいとナツメヤシについて説明しよう」 男「ナツメヤシにはデーツって果実が実る」
女「面白いよねー、的を狙ってるのになかなか刺さらないの」
男「そりゃダーツだ。デーツは中近東諸国ではよく食べられてる果実だ」
男「天然のドライフルーツで、黒糖や干し柿に似た味を楽しめる」
男「食物繊維やカリウムが豊富で、美容効果もあるとされる。あのクレオパトラもよく食べてたとか」
女「ホント!? よし、明日からデーツ食べる!」
男「ちょっと大きめのスーパーに行けば多分買えるだろ」
男「そのまま食べる他、ジャムやゼリーに加工されたり、とろみを出すためソースの原材料に使われたりする」
女「ナツメヤシ凄い! デーツ凄い!」 女「ねえねえ、もっとナツメヤシの話して!」
男「ちょっと待て、ンジャメナの話に戻ろう」
女「そういやそうだったわね。ンジャメナって具体的にはどんな施設があったりするの?」
男「街には市場が多くあるし、イスラム教徒も多い国だからでかいモスクもある」
男「中心部には軍事演習が行われる国家広場もある」
男「それと、フランスの大学をモデルに設立されたンジャメナ大学なんてのもあるぞ」
女「大学もあるんだ!」 女「なんだかンジャメナに行ってみたくなってきたかも……日本からだとどうやって行くの?」
男「ンジャメナにはンジャメナ国際空港って空港があるけど、日本からの直行便はない」
女「ないんだー、残念」
男「行くとしたら例えば、成田からエチオピアのアディスアベバを経由して行く方法や」
男「成田からエジプトのカイロを経由して行く方法がある」
男「所要時間は17時間から20時間ってところだな」
女「うへえ、一日近くかかっちゃうんだ……」 男「それに、さっきもいったけどチャドって国は治安がいいとはいえない」
女「あっ……」
男「だから興味本位で行くにはちょっとリスクが高いかもな」
女「そうかもね……。いつか平和になってくれたら行きたいな」
男「そうだな」
男「しりとりで有名になってる、なんて知ったら現地の人も驚くかもしれない」 男「最後に、ンジャメナ以外のチャドの見どころを紹介しておくか」
女「うん、よろしく!」
男「まず、国名の由来にもなってるチャド湖」
男「2010年の時点で面積1700平方キロメートルもある大きい湖だ。ちなみに琵琶湖は670平方キロメートルな」
女「大きい!」
男「ただ、チャド湖は消滅の危機に瀕してる」
女「え、そうなの?」
男「なにしろ1960年代には2万6000平方キロメートルもあったんだ。1/10になってる」
女「なんでそんなことになっちゃったの!?」
男「原因は砂漠化や、急速な灌漑などだ。もちろん、保護する動きは進んでるが、政情が不安定なのもあって」
男「有効な対策はなかなか取りづらいってのが現状だ」
女「消えないといいなぁ……チャド湖」 男「他にめぼしい観光地といえば……」
男「アフリカの民芸品や工芸品を見ることができるチャド国立博物館」
男「チャド北東部のエネディ山地に位置する美しい泉アルシェイ・ゲルタ」
男「世界遺産にもなってる18の湖ウニアンガ湖沼群」
男「アフリカの動物たちを間近で見られるザクーマ国立公園などだ」
女「素敵な場所がたくさんあるんだね!」
男「行くのは大変だし危険だが、安全に旅行できるのならきっと楽しいだろうな」 男「……まぁ、こんなところかな」
男「ンジャメナに関係ない話も多くなっちゃったけど」
女「ううん、ンジャメナがある国がどんなところかよく分かったよ」
男「悪かったな。さっきは問い詰めるような真似して」
女「別にいいよ。私もンジャメナのこと知らなかったんだから」
男「ありがとう」
女「それじゃ、せっかくだししりとりしよっか!」
男「ンジャメナを知っちゃったから、終わらないかもしれないけどな」 女「じゃあ……しりとり!」
男「り……り……り……。り? あれ、出てこない……」
女「へ?」
男「頭の中がンジャメナまみれで……」
女「リンゴでも理科でも、あんたの詳しそうなリビアでもいくらでもあるでしょ!」
女「いきなり終わらせないでよ!」
男「ごめんなさい……」
― 終 ― ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています