「そうか、そうか、ワシは毎年お前達の餅を楽しみしておる。今も穴蔵で火をおこして焼き餅を作る準備をしておったんじゃ」
主はニコニコして布を取るとそこには大きな芋餅があった。
「これは芋餅!お前ら餅の米をケチって芋をまぜよったかー!!!」
主の顔はみるみる真っ赤になってしもうたが、長女の姫はたじろがんかった。
「主様申し訳ございません。今年は村も米が不作、加えて男たちが戦にでかけてしまいしかたなく芋を混ぜたのです」
「ワシは白餅がたのしみじゃというたじゃろーがーー!!んん」
怒った主は芋餅を娘たちに投げつけようと持ったところ驚いた。まだ餅は暖かくやわらかかった。そして芋をたっぷり混ぜたことで甘い、甘い匂いもしとった。
「はむ、はむ!うまーい!!」
そのあまりのうまそうな匂いに投げつけようと思っとった餅にかぶりつき、今まで食べたことのない芋餅の旨さにおもわず舌鼓をうってしもうた。
「私と馬たちで一生懸命運んだ芋餅です、いつもよりたくさん作って一刻も早くお届けしました」
次女の姫が誇らしそうにかたると主もその芋餅の旨さに何も言えんかった。さらに三女の姫が美しい着物を着て後ろから現れる。
「さあ、主様今年は白餅を届けられなかったお詫びとして私と村の娘が舞を奉納させていただきます最後までどうおおたのしみくださいませ」
三女の姫と村の若い娘たちは一生懸命主のために舞を披露した。その楽しそうな舞を見ながら芋餅をほうばっていた主も楽しくなり娘たちと一緒に踊りだしてしもうた。
「お上手ですよ主様」
「わはは、こんな楽しい大晦日は初めてじゃー」
芋餅を食いながら舞を舞う主、その踊りはお日様が真上に昇るまで続いとった。じゃが芋餅を腹いっぱい食べて大きな体で長い時間踊ったもんじゃから主もへとへと
「まてまてーここらで一旦ひとやすみ−」
そういうと山みたいな巨体をどしーんと大穴の近くに腰をおろした。その時じゃったー
「ぶ、ぶぅぅぅっぅーーーーーーーー!!」
芋餅のせいで主は武蔵国全体に響き渡るほどのでかい屁をたれてしもうた。峠のてっぺんは大嵐のような屁が風が吹き荒れた。
「きゃあああああ」
馬も娘たちもみんな穴の中におこっとされるほどの大きな屁じゃった。しかも主が焼き餅を作る準備のため炭を起こしておったためドーンっという大きな音響くと馬草峠がふきとんでしもうた。
「ひやあああああたすけてくれー」
主も自分の屁で遠くの山の向こうに吹き飛んでいった。その大きな爆発は村の方からもよく見えた。大きい馬草峠はあとかたもなくなっており村で留守番をしてた者たちたいそう悲しんだ。
その時じゃった。雲の隙間から、きらびやかな光が馬草峠のあった場所にぱぁーっと差し込んだ。するととうじゃ、大きな岩や大木の中から娘たちや姫達が這い出してきた。
「姉さま達ごぶじですか?」「私は平気です、皆は怪我はありませんか?」
長女の姫が周りを見渡すと妹たちも娘たちもみんな無事じゃった。ただ馬は一頭もおらんかった。長女の姫は大切な馬が犠牲になったことをたいそう悲しむとまた不思議なことがあった。
「あたまがムズムズする」「尻がムズムズする」
「あなた達、その耳と尻尾はどうしたのですか?」「姉さまも耳と尻尾が生えていますよ」
そう爆発に巻き込まれた娘たちの頭と尻に馬の耳としっぽがはえとった。娘たちは大慌てになった。
「うあああああ!たすけてくれ!!」
「あ、あれは!」「父様!」
戦に出ていた殿様や家臣、男たちが必死にこちらの方に逃げてきとった。後ろから大きな上りが何本もたった大軍も追いかけてきておる。
殿様達は返り討ちにあっており、村まで追いかけられてきとる真っ最中じゃった。
「どうするだ、あんな大群に追われて・・・私達おしまいだ」
しかし長女の姫は妹2人にそっと耳打ちをした。
「はい姉さま」「わかりました」
次女と三女の姫は近くにあった大きな岩や大木を拾うと、軽々と持ち上げよった。
「思ったとおりですね。変な耳と尻尾が生えてしまったけど力湧いてくるような気がしたのです。みなさんもできるはず、さあ近くにある大きな岩や木を拾って」
長女の姫は自分も大きな岩を持ち上げると大軍めがけて思いっきり投げつけた。
「みんなつづけー」次女の掛け声と共に、娘たちも岩や大木を軽々と持ち力いっぱい投げつた。これにはさすがの大軍もたまったものではない、怪力の化け物がおると尻尾を巻いて退散してしもうた。
それからこの耳と尻尾の生えた娘たちは峠のあった場所開拓したいそう立派な田んぼや畑をたくさん作ったそうじゃ。
いつしか彼女らはウマ娘と呼ばれるようになりいつまでも幸せに暮らしましたとさ めでたしめでたし。 
いかがでしょうか?