ばあやはあれきり話さない
あのお話は好きだのに

「もう聞いたよ」といったとき
ずいぶんさびしい顔してた

ばあやの瞳(め)には草山の
野茨の花が映ってた

あのお話がなつかしい
もしも話してくれるなら
五度も十度もおとなしく
黙って聞いていようもの