私はおいおいと泣いた。社会が勝手に結んだ「母」像に、自己が丸ごと回収されてゆく感じ。これまでの「私が私」であった世界と「ママA」としての世界のはざまで、行き場がなくなったようなそんな心細さ。

この感じ、何かに似ていると思ったら、ジブリ映画の「千と千尋の神隠し」で、主人公の千尋が湯婆婆に名を奪われ、湯屋で働かされはじめるあのシーンなのだった。
  
「いいかい? お前の名は今日からママだ。ママなんだよ」

──そうして女だけのコミュニティに閉じ込められたまま、一生戻ってこられないんじゃないだろうか。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2023/07/post-884_1.php