中国、半導体製造に不可欠な金属の輸出制限へ-米欧と対立強める
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-03/RX7ZXPDWRGG001

中国は、半導体などの製造に利用される2種類の金属に輸出制限措置を講じた。技術を巡る米欧との通商対立が一段と強まっている。

中国商務省は3日の声明で、ガリウムとゲルマニウム、およびそれらの化合物について、8月1日から国家安全保障の保護を目的とした輸出規制の対象になると発表した。

声明によれば、これら2つの金属の輸出業者は、輸出を開始・継続する際に商務省にライセンス取得の申請を行う必要があるほか、国外の買い手やその用途についての詳細を報告する義務が生じる。

中国は量子コンピューティングから人工知能(AI)、半導体製造に至るあらゆる分野で技術的優位の獲得を目指している。米国は中国の優位を阻止するため一段と積極的な対策を講じており、欧州やアジアの同盟国にも同様の措置を取るよう呼びかけ、一定の成果を収めている。

レコン・アナリティクスのアナリスト、ロジャー・エントナー氏は、テクノロジー業界への影響は「手元の機器在庫に左右される」とした上で、「今後1年程度は、力の誇示の意味合いが強い。長引けば価格は上昇するだろう」と指摘した。

中国は、電気自動車メーカーや防衛産業などでも利用されるガリウムとゲルマニウムの生産で支配的地位にある。英クリティカル・ミネラルズ・インテリジェンス・センターによると、中国は世界のガリウム生産の約94%を占める。

一方で、中国の生産と輸出がガリウムとゲルマニウムの価格を安価に保っている側面があるものの、両金属とも特に希少でも見つけるのが困難でもない。供給が抑制された場合、価格が上昇して中国以外の生産を促す可能性がある。

鉱業・商品の調査を手掛けるホールガーテンのプリンシパル、クリストファー・エクレストン氏は「短期的には価格上昇が見込まれるが、アンチモニーやタングステン、レアアース(希土類)などの過去の事例と同様、中国の市場支配はその後、失われるだろう」と話した。