昨年10月、打ち上げに失敗した固体燃料ロケット「イプシロン」6号機について、宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))は、姿勢制御装置の推進剤タンクの製造に不備があったことが原因だったと結論づけた。推進剤を送る配管が詰まり、打ち上げ後、装置が機能しなかったという。18日に開かれた文部科学省の有識者会議で明らかにした。
 6号機は姿勢制御装置「RCS」に異常が生じ、打ち上げの6分半後、指令破壊された。JAXAによる調査で、推進剤タンクの内部にゴム状の膜を取り付ける際、固定器具を溶接する作業で膜の一部が破損していたことが判明した。膜は推進剤をタンクから配管に押し出すためのもので、破損により配管の入り口をふさいだとみられる。
 検査データで製造不備を示す兆候はあったが、規格上は「合格」の範囲だったために見逃されたという。JAXAは「これまで人工衛星などで実績のある装置だったために、製造工程や規格、検査の検証が不十分になっていた」と説明している。
 JAXAは今後、現在開発中の後継ロケット「イプシロンS」の姿勢制御装置の設計を変更し、製造工程や検査項目などを見直す。イプシロンSの1号機は2024年度に打ち上げを目指すという。JAXAの井元隆行プロジェクトマネージャは「一歩踏み込んだ確認が必要だったと反省している。イプシロンSの信頼性向上につなげたい」と話した。