昔 公園で友達らとかくれんぼをしていた時の話。
鬼になって周辺を歩いていると、ガラガラと大きな音が聞こえてきて、私はそっちに走った。
大きな白い子犬が瓦礫の中に生き埋めになっていた。
あまりに成長し過ぎた子犬が、掘っ立て小屋には収まりきらず、ついには中から崩れたらしかった。
「どうして泣いているの」
怖いから。
私は怖くて、何も見なかったことにしてその場から急いで離れて、おにごっこもほったらかして家に帰ることにした。
でも犬の飼い主が家の前をうろうろしていて、怖くてかくれんぼみたいに隠れていた。
飼い主が立ち去ってからポストを覗くと、メモ帳の切れ端が入っていた。
「ま き ま さ ま か し た た き さ」
その時私にはそれが何を意味しているか分からなかった。
「なぜ怖いの」
忘れられないから。
これだけど、
ま3き2さ2か1し1た2         
まさきにささかいしにきた  じゃないかと思っている。
妹の名前は、礼桂だった。
そこで急いで戻ったけど間に合わなかった。
おんぼろな掘っ立て小屋が燃えていく。
共に焼かれているのは、大きな黒い子犬。
黒い子犬、また白い子犬になった……。
その時「みーつけた」と声が聞こえた
どうやら友達のケン君が鬼に見つかってしまったらしかった。
その日から鬼はケン君の両親になった。
「どうして笑っているの」
思い出したから。