――西日本はなんだか日本人らしくない気がします
おっしゃるとおり関西、広島、福岡と治安が悪く反社が多い地域が多く、悪く言えば気性が荒い。いい意味でいえば情に厚い人が多い。まるで韓国人や中国人のようです。なぜかというと、西日本は朝鮮半島に近接し、大陸・半島系の渡来人が古来から多くいました。東日本のずんぐりむっくりした原住日本人の縄文人、西日本の渡来人では、そもそも人種が違うのです。

――日本とは、東日本なのですか
私たちが住む近代国家としての日本国は、明治維新で江戸幕府から新政府が継承した政権がベースです。徳川家康も東海出身の東日本人ですが、幕府を最初に作ったのは源頼朝の鎌倉幕府です。「東の源氏、西の平家」の源氏です。このように今一般に「日本の伝統」とされることは鎌倉時代や江戸時代の武家文化がほとんどで、つまり東日本文化なのです。

――どのような伝統文化があるのでしょう
たとえば和食の代表格の寿司を見てみましょう。今一般的なものは「江戸前握り寿司」という東京湾で撮れた魚を握って提供する江戸っ子のファストフードが起源です。しかし西日本で古代からある「ふな寿司」は臭みの強い発酵食品で、見た目にも寿司とは思えません。また、日本人の精神規範とされる「禅」もベースにあるのは鎌倉仏教です。その曹洞宗は東日本の横浜と北陸に総本山があり、信徒は東日本に限れば最多ですが、西日本ではそれ以前の浄土真宗系が強いので、日本最大の仏教勢力ではないのです。西日本人には癇癪持ちが多く落ち着きや自分の頭で考える余裕と知性がないのは、禅の精神がないからでしょう。

――東京から遠いから、おかしくなるのでしょうか
それは違います。なぜなら東北地方の方が実は関西より遠いのに、東北人のほうがよほど中央に準じているからです。ただ、西日本がアジアと「地続き」なのは事実で、例えば韓国と関西では、エスカレータは右立ち、カレーライスはかき混ぜて食べ、銭湯のバスタブの位置も中央に設置と同じ。韓国の駅には「立ち食いウドン」があり、関西風のかつおだしスープという点も一緒なのです。

――「日本人」とは東日本人なのですね
私たちがこうやって話す日本語の標準語も、ベースにあるのは江戸の上級武士が話した山手言葉という方言です。つまり「関東語」なのです。先ほど寿司の話をしましたが、西日本ではかんぴょう巻きを知らない人が大勢います。かんぴょうの本場は栃木であり、西日本から遠いのです。そば湯や和菓子のすあまのような食文化も知らないのです。定食の味噌汁の位置も違う。日本人なのに、日本文化を知らない。これは「日本の中の少数民族」と考えた方がわかりやすいです。つまり北海道のアイヌ人、沖縄県の琉球人に次ぐ第三民族として、渡来人をベースにした「西日本族」と定義した方がいいでしょう。
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